デビュー3年以内の若手選手によるナンバーワン決定戦・ヤンググランプリ2024が静岡競輪場に於けるKEIRINグランプリシリーズの初日11Rに実施される。今年は全員が121期生の組み合わせとなり、パリ五輪に出場し国内のGIでも活躍している太田海也と中野慎治の2人が中心となるが、全員が伸び盛りの自力選手だけに激しい叩き合いが予想されるし、ゴール前での大逆転も十分に期待できるだろう。
太田海也 岡山 121期
太田海也は昨年のヤンググランプリの覇者だ。昨年は打鐘から先行態勢に入った吉田有希を叩いた犬伏湧也をさらに叩いて主導権を奪い、そのまま後続を押さえ込んで逃げ切りと自慢のスピードを見せつけている。今年はパリ五輪に出場後に8月のオールスターから競輪に復帰、GI、GIIでの優出こそないが活躍を続けている。11月の競輪祭では競輪競走に不慣れなのがアダとなり、二次予選Bで打鐘から先行態勢に入るも末脚を欠いて3着と敗れている。それでも調子自体に問題はなく、連覇を目指して昨年同様に強い走りを見せてくれるだろう。
中野慎詞 岩手 121期
中野慎詞はパリ五輪の男子ケイリンで日本勢では16年ぶりに決勝の舞台に立ったが、最終4コーナーで落車して無念の棄権となった。その影響で競輪への復帰は遅れたが、10月の函館FIで完全優勝、11月の四日市記念で決勝8着、続く競輪祭では一次予選1が逃げて3着、一次予選2が上がりタイム10秒9の捲りで完勝し、ダイヤモンドレースを経て準決進出を果たしている。昨年のヤンググランプリでは切って切っての混戦レースに後手を踏まされて7着だったが、今年こそはワールドクラスのスピードを発揮してリベンジを狙う。
後藤大輝 福岡 121期
後藤大輝は昨年6月にS級2班に特別昇級、今年7月から1班に昇級している。S級での優勝はまだないが、GI初出場となった8月のオールスターでは一次予選1が逃げ粘りの2着で山田英明とワンツー、二次予選2も逃げて6着だったが小川勇介の勝ち上がりに貢献と九州期待の新鋭だ。続く8月の小田原記念では一次予選が逃げて2着、二次予選も逃げての3着で準決進出と積極性をアピール、11月の四日市記念でも一次予選が捲りの2着、二次予選が逃げの3着で準決に乗っており、今回も積極的な走りでチャンスを掴む。
東矢圭吾 熊本 121期
東矢圭吾は昨年5月にS級2班に特別昇級、来期は1班に昇級が決定と出世街道を登ってきたが、6月の奈良GⅢでは2着、3着で勝ち上がるも準決で落車して3場所の欠場を余儀なくされた。それでも復帰戦の7月の別府記念では二次予選で敗れたものの1着1回、2着1回と好走している。10月には7月に再開したホームバンクの熊本記念に出場、みごとに準決まで勝ち上がり結果は9着だったが中川誠一郎の1着に貢献している。10月の寬仁親王牌は一次予選敗退とほろ苦いGIデビューとなったが、今回は後藤大輝との連係で勝利を目指す。
纐纈洸翔 愛知 121期
纐纈洸翔は121期の卒業記念レースのチャンピオンで、2022年9月に岐阜競輪場で実施された121期の新人選手による競輪ルーキーシリーズ2022プラスでも優勝している。しかし、デビュー後のA級戦で取りこぼすことが多く出世街道では同期の仲間から遅れ気味の印象があり、今年1月にようやくS級2班に昇進した。それでも6月の福井FIでは予選、準決は逃げの2着、決勝は追い込みでS級初優勝を飾っている。8月の富山記念と10月の川崎GⅢでは準決進出と着実に成長しており、今回も同期の仲間に負けない走りを見せてくれるだろう。
村田祐樹 富山 121期
村田祐樹は5月に高知で開催された全日本プロ選手権自転車競技大会の1kmタイムトライアルで菊池岳仁、新田祐大に次ぐ3位になっている中部期待の強力地脚タイプで、10月に大垣で開催された中部地区プロ自転車競技大会でも1kmタイムトライアルで3連覇を達成している。競輪では今年1月にS級2班に昇進、10月のホームバンクの富山FIで3日間逃げてS級初優勝を飾っている。9月の岐阜記念では一次予選と二次予選が逃げの2着、準決は捲り1着で決勝は3着と健闘しており、今回も真っ向勝負の主導権取りを期待したい。
山口多聞 埼玉 121期
山口多聞は今年1月にS級2班に昇級、S級での優勝はまだないが、6月の取手記念では一次予選が逃げての3着でラインの吉澤純平と小林令が1着と2着、二次予選も逃げての3着で吉田拓矢と芦澤辰弘が1着と2着、準決も逃げて9着だったが坂井洋と吉澤純平の優出に貢献している。8月の小田原記念では準決で残念ながら落車してしまったが、一次予選は突っ張り先行での逃げ切りで芦澤辰弘とワンツー、二次予選は逃げての2着で宿口陽一とワンツーと好走しており、今回も持ち味の積極的な攻めで活路を見出してくるだろう。
大川剛 青森 121期
大川剛は2022年のデビュー後のチャレンジレースにおいて先頭誘導員早期追い抜きの失格で4か月の欠場を余儀なくされて足踏みしたが、昨年5月にA級2班に特別昇級すると2か月後にはS級2班に特別昇級、8月の別府でS級初優勝を飾ると今年7月にはS級1班に昇級と出世街道を駆けあがってきた。今年は優勝はないが、6月の函館GⅢでは一次予選が上がりタイム10秒9の捲りで1着、二次予選と準決が逃げての3着で櫻井正孝や坂本貴史の勝ち上がりに貢献しており、今回は同じ北日本の中野慎詞との連係がどうなるかにも注目したい。
真鍋智寛 愛媛 121期
真鍋智寛は今年1月にS級2班に昇級、S級での優勝はまだないが、8月の地元松山のGⅢでは一次予選、二次予選、準決と3日間捲って2着、3着、3着で優出、決勝は9着だったが新田祐大らを相手に逃げて見せ場をつくっている。近況はFIでもなかなか優出できない厳しい状況が続いており、脚質的にも長い距離を踏めるタイプではないが、一瞬のダッシュ力にはきらりと光るものがある。7月のPIST6だが、残り1周から一気にカマして出ると、S級S班の新山響平の追撃を下して優勝しており、今回も混戦を突いての一発が十分にありそうだ。
プレイバック ヤンググランプリ2023
太田海也が自慢のスピードを発揮して優勝
太田海也-山根将太の岡山コンビが前受け、単騎の志田龍星が続き、4番手に吉田有希-橋本壮史の栃茨コンビ、6番手に単騎の北井佑季、7番手に犬伏湧也-上野雅彦の四国コンビ、最後尾に中野慎司の並びで周回を重ねる。青板バックから犬伏が上昇を開始、それに乗る形で中野が四国コンビに続き、その後ろに北井も乗り換えていく。赤板ホーム過ぎに犬伏が誘導員を下ろすが、すかさず中野が踏み込んで犬伏を押さえて先頭に立つ。ほぼ同時に後方を担っていた吉田が一気に仕掛け、打鐘とともに中野を叩いて先頭に立つ。さらに犬伏が早めの巻き返しでスパートし、上野を捌いた志田が犬伏に続き、太田も追ってくる。最終ホーム過ぎに犬伏が吉田を叩き切るが、すぐ後ろに太田が迫っており、両者のもがき合いとなる。もがき合いはバックまで続くが、太田が犬伏をねじ伏せて先頭に立ち、そのまま先頭の追撃を振り切ってゴールインして優勝、絶体絶命の9番手となっていた北井が4コーナーから内を突き直線伸びて2着、外を伸びてきた上野が3着に入る。