S級復帰の手土産は圧巻の走りでの優勝。上吹越直樹がA級最終戦で輝いた。ただの優勝ではない。打鐘過ぎに6番手からの仕掛けで逃げ切り。さらに言えば、相手は、特昇したばかりの齊藤英伊須。将来が期待される有望株を叩きのめした。43歳が21歳の前で貫禄を示した一戦だった。「齊藤君のことは特に意識していませんでした。ペースが緩んだら行こうと決めていましたから。逃げ切りでの優勝?記憶にないです」完勝に自然と頬が緩んだ。付け加えれば上吹越は、2開催前の久留米でも2コーナー過ぎから外外をブン回してまくりでVを飾っている。A級ラスト3開催で2V。そのうち2回が自力という結果を残して7月からS級に復帰した。
A級では3期間走った。「失格もあって1年半になってしまいました」
S級とA級の違いについて聞いてみたら「走る距離も違うしペースも違う。A級も難しかったですけど、慣れないようにしていました」。S級での戦いを見据えたトレーニングを日々送っていたが最近は「年齢も年齢だし、無理して自転車に乗らないようにしました」。
無理とは?「気持ちが乗らなくても練習したということを自分に言い聞かせていた部分がありました。自己満足だったかもしれません。それを無理してというか嫌々乗っても身にならないことが分かったんです。だから集中して中身を追い求めています」その成果が自力で2Vという形に表れたのだろう。
追記しておくと、S級初戦の名古屋FⅠは①⑥①と2勝をマークした。自力ではなかったが、直線の伸びはA級ラストからの自力が生きてきたように思えた。しばらくは上吹越の動きから目が離せないと断言できる。それくらいの状態を維持している。