水を得た魚というのは大袈裟かもしれないが、今期からA級に降格した田頭が、元気にバンクを駆け巡っている。初戦の前橋で優出すると続く静岡は準決で破れはしたが、最終日に1着。そして今回の松山でも優出した。優勝こそないものの、明らかにS級時代とは動きが違っていた。「A級は1周回少ないのが楽かもしれませんね」と笑ったが、これはS級からA級に降格した選手の多くが言うことでもある。
特選は4番手に入るも何もできず大敗を喫したが「サドル回りを相当いじくったんです。結果的にこれが失敗でした」。すぐさま準決は元に戻すと1着でクリアした。降格後の初優勝がかかった最終日は同じ南関ラインの神尾敬冬とは別々で、単騎の競走を選択した。自力型としてのプライドがそうさせたのだろう。最終バックでは4番手。そこからまくるも番手の梁島邦友の横まで。諦めずに踏んだが4着で、初優勝はお預けになった。
「正月の前橋開催で坂木田さんがついてくれたんです。坂木田さんも自力ですが、僕についてくれたことが嬉しかった」。結局のところ、同じタイプに信頼があるかどうかになるのだが、この1戦で自信がついたことは明らかだろう。「S級の時はグレードレースで先輩に連れて行ってもらって勝ち上がりましたが、準決とかでは自分が当て馬になって逃げる構図になっていました。自力で勝ち上がってないのにそこは自力の組み合わせで」
実は田頭、1年を通してS級に在籍したことがない。「そうなんです、半年で(笑い)。だから今年はS級の点数をとって、1年間、それ以上長くS級に在籍することが目標になります」と2025年の意気込みを語った。長い距離を踏めるのが田頭のストロングポイント。まだ降格してから優勝はないが、そう遠くない時期に優勝、そしてS級の点数を確保。さらに年間を通して上のレベルで戦えるだけの能力はあるだけに、今後に期待したい。