競輪界の御大・中野浩一氏に2022年前半を振り返って頂きました。
G1が近畿、G2が中国地区とG2以上のグレートレースの優勝は地区が固まっていますが、その他にどのような注目選手がいるのか語って頂きました。
─2022年上半期を振り返っていかがでしょうか。
「上半期のタイトルは古性優作(大阪)が2つだっけ? 古性が全日本選抜を獲って、ウィナーズが清水裕友、ダービーが脇本雄太、宮杯が古性、サマーナイトが松浦悠士か。清水と松浦がG2を獲ったと。で、G1は古性と脇本と。まあ脇本はちょっと別格にしても、SS組がやっぱりしっかり勝っているということだよね。」
─若手の活躍はいかがですか。
「眞杉匠(栃木)、嘉永泰斗(熊本)とかね活躍してくれるとね。でも若手が勝っている時って、単騎の時じゃない。去年の坂井洋(栃木)だってそうだし。だから自由に走れた時だよね、しがらみがないというか。自分は、それが本当は競輪の本来の姿だと思うわけ。しがらみなく自由に走って、勝てるやつが勝つっていう。人の力を利用するにしても今みたいにラインとかなんとかじゃなくて、行きたいところに行くっていうレースが本当だと思う。そのほうが観ているほうは面白いと思うよ。どうなるか分からないから。で、それを予想するのが予想アドバイザーや、専門でやっている記者さんの仕事で。お客さんもそれをちゃんと見ているだとか、昔のようにレースの流れを考えながらっていうレース展開を予想するというようなね。
今って、選手のほうがあまりそれを考えてないじゃない、どっちかといえば。パターン化しているから。突然変わったことをやるやつがいるかというとそうでもないし。本当の競輪はどうなのか、どうしたらいいのかっていうところを考える必要があると思います」
─ルーキーの中野慎詞、太田海也はどのようにみられています?
「まだ7車だとね、別にもう。だから勝てるだけ勝ってもらって。無理やり後ろに勝たせる競走はしなくていいと言ってあるから。太田海也もちょっと怪我したから(予定が)狂ったけど。太田はまだ会って話したことがないから。ジェイソンとかは買ってるみたいだね、太田を。だからそのへんもね、競輪でも当然大きな期待をファンの皆さんに持ってもらえるだろうし」
─中野さんから見て、犬伏湧也(徳島)はどうですか?
「今回たまたま、インタビューしてくれって言われて、吉田有希と犬伏がいたんで、レースに関して、自分の力を全部出し切ることを考えて走れと言ったら、そしたら2人ともサマーナイトフェスティバル初日にいいレースをしたもんね。で、2日目の犬伏なんて強かったじゃない。真杉が先行して、これはちょっと浮くのかなと思ったらそのまま捲って行ったもんね。なにが大事って思い切りが大事っていう、そのへんはちゃんと理解して走ったのかなと思って。ただ、言われたその時だけわかってても、その後がどうなるかだから、これからが楽しみだなと思う。今回の結果が犬伏にとっては自分の競走としてこうだっていうふうになってほしいんだけどね。全般的にそうよ。だから俺が中野慎詞に送ったメールは『出る杭は打たれるけど、出過ぎた杭は打たれないから』だから。慎詞からの返事は『出過ぎるように頑張ります』って来てた。だから、ぐずぐず言われるのは出ばなだから。抜けてしまえば誰も何も言わなくなるから。犬伏なんかも一緒だけどね。『行け』とかって言われて行くんじゃなくて、『黙ってついてきてください』くらいのほうがいい。そういう選手じゃないと強くならない、本当に強くは。だって松浦だって、別に誰かつれてどこかで行きますとかって競走してないじゃないの。清水と前後とかってそれはあるけど、それは一時の平原と武田みたいなもんだから。基本的には強くなってしまえばそれはいろいろ、順番とかあるから。強くなる段階でそれをやってしまうと結局一番肝心なところで勝てない競走しろって話になっちゃうから。そこだけはないようにしてほしいなと。あくまでも仮に、周りから見たら発進したように見えてもそこにはちゃんと自分の中でこういう競走をしたいんだというのがあって、メンバーによってこうしないと自分が生きないっていうのがあれば別に構わないと思うし」
─それにしても今、佐藤慎太郎とか荒井崇博とかベテランが頑張っていますが?
「(ずっと優出が続いている荒井は)どうしたんだろうね、あれ。急によ。だから俺言ったの、『お前今年で全部運を使い切るんじゃないの』って(笑)。そうしたら『全部使い切ってもいいからグランプリ出たいです』って言ってたよ」
2022年7月20日にインタビューしました。