月刊競輪WEB

検索
神山雄一郎 日本競輪選手養成所所長に聞く!
インタビュー 2025.10.01

神山雄一郎 日本競輪選手養成所所長に聞く!

#スペシャルインタビュー

「楽しく、苦しく、元気良く!」神山クラスって何をやっているのでしょうか?

2025年5月から養成所所長に就任した神山雄一郎所長に、月刊競輪WEB第2弾のインタビューをしました。
今回は、あまりにも興味深いインタビューとなった為、2回にわけて掲載いたします。

1回目は、話題沸騰中の神山クラスについてです。

就任直後のインタビュー時には、神山クラスは1年間様子をみると言っていた神山所長ですが、滝澤正光アドバイザーの助言を受け、しっかりと神山クラスが開始されていました。

果たしてその内容とは?

このヘルメットキャップを被っているのが神山クラスの候補生

〇神山クラスと呼んでも良い?

「(神山所長の教場は)今年1年間ぐらいはやる予定はなかったんですけど滝澤正光アドバイザーからの助言でやってもいいんじゃないかと思って。本当は、次年度ぐらいから自分が養成所に慣れてきて余裕が出てきたら、始めようかと思っていましたが、滝澤(正光)さんに「今年は予行練習的な感じで行ってみよう」と言われたら断れないじゃないですか(笑)。そこまで滝澤さんが言うのであればっ!という感じで始まりました」

〇メンバー選考はどのように考えられました?

「それも滝澤さんにもいろいろと聞きながら、どういう人を何人選ぶとか。また神山クラスが出来ると(養成所には)A教場、B教場、女子教場があって、そこにもう一つ教場が増えることによって教場を回すのが難しくなりますよね、練習バンクは400mと333mと250mの3か所なので。そこを考えながら、滝澤さんと大川総括と話し合いながら、うまく現状の教場と一緒に回せるような感じでスタートしました。候補生の人選は、候補生に対してちょっと失礼になるかもしれないけど、ある程度見込みがある、といってもまだ始まったばっかりで本当の実力等はわからないですけど、見込みがありそうな候補生のプロフィールとかを全部読ませてもらい、やる気があることや、動機とか、あと保護者が書く欄とかもあるんで、保護者のコメントなども見ながら、親が感じた候補生の性格とかも書いてあるんですけど、そういうのも一通り全部目を通し、あとは本人の意思確認をして決めました。人数はA教場6名、B教場6名、女子6名です」

〇どのような教場にしようと考えられました?

「訓練プラスアルファ何か、競輪に特化した練習を僕がやってきたような練習を1種目ぐらいを追加する感じですね。基本的なトレーニングメニューに沿ったメニューに競輪特化の練習をちょっとプラスするぐらいのイメージでやっています。僕がやってきて『競輪に繋がった』と思う練習をプラスアルファして、候補生を鍛えていくっていう感じですね」

〇プラスしたトレーニングっていうのはどのようなメニューですか?

「僕が思うにやっぱりインターバルトレーニングが競輪には向いてるんじゃないかなってずっと思っているんです。なおかつ、養成所でやってるインターバルトレーニングとは違ったインターバルです。神山クラスの場合は高強度であって、インターバル時間が短い練習をしています。養成所でやっているものはしっかり休んでやるというのが多いんですけど、僕は、ほぼマックスな状態で行っているにも関わらず、ほぼ休みがない状態を続けるという感じやっています。なので候補生はもう脚が動かなくなって、最後は倒れる感じですね。でもそういう思いをさせてあげたいっていう気がするんで。それが競輪には僕は向いてるんじゃないかなと思っています。全く根拠がないわけじゃなくて、ただ経験的な根拠があるだけですが、それを伝えていこうかなと思っています」

〇具体的にはどのようなものでしょうか?

「僕が一番力を入れてるトレーニングが1個ありまして、2人一組の0発進ですね。0発進がやはり一番負荷がかかると思うので。まず、僕と滝澤アドバイザーが各候補生をホルダーし、その時に候補生に気合を入れる為に声をかけて、スタートからもうMAXで踏む。前を走る人は追走する人を千切るように、後ろは千切れないようについていって、バック線を取るように捲っていけと。(前の候補生は)半周で終わるんですけど、(後ろの候補生は)前を追走して行ってバックから半周いく1周もがきなんですよ。後ろの候補生はゴールして、ダウンしてそのまま1周してきたときにはもう僕らがもう待ってるんですよ。インターバル2、3分でもう直ぐにスタート。それを前後交代して連続4本やるんです」

〇想像するだけでも非常にきついトレーニングですね。

「なのでもう緩められないんですよ。僕と滝澤アドバイザーが持った瞬間に、そこで気合入れますから、『この2本目が勝負だぞ』って言って。3本目は3本目で同じこと言うんですよ。4本目になって『もう本当にもうこれ最後だから、もう出し切れ!』って言って、1本目からもうマックスでもがきます。相当きついと思いますよ。僕も現役の時に同じメニューをやっていたんですけど、2人ですがホルダーもいないし、ぐーっとゆっくり走ってきて、バーンと踏むというのを2人で2周か3周してきて、今度は前後交換してまたゆっくり走って踏み込む、というのをやりますが、その状態の4本で死にそうなんですよ。候補生はしっかりゼロ発進で、しかも滝澤さんと自分に思いっ切り気合入れられて、マックスで走るので、かなり苦しいと思います(笑)」

〇終ったら倒れ込みでしょう(笑)。

「はい。でもそれが僕はなんかすごく大事かなと思います。それに、神山クラスは頻繁にはできないので。通常のトレーニングとトレーニングの間に入れてくる、それがちょうどいいぐらいだと思っています。たまにすごい刺激が入る感じですね。普段はみんなと一緒にA教場B教場でそれぞれやってるんですよ。候補生は1週間分ごとにメニューを出されるので、そこの中に神山って書いてあったときは、明後日、神山クラスか…って多分思うと思うんですよ。間違いなくきついのはきついと思います。でも、きついながらも皆が楽しそうなんですよ。きつくて駄目ですよと言いながらも、なんか楽しそうなんですね。だからもう、もうまさに僕の思った通りで、もう楽しく苦しく、元気よくっていう。それがもうコンセプトでやっています」

〇普段と違う刺激が入りますよね。

「そうですね。普段はA教場、B教場で30人とか35人いる中で、皆で一緒にやるじゃないですか。けど、神山クラスは6人ぐらいになるんで、6人ぐらいで喋りながらなので間違いなく楽しいと思うんですよね。なんで、いろいろな候補生を見てあげたいんですけど、全員は見れないので。」

〇第2回記録会が終了すると神山クラスは再編成されるのでしょうか?

「普段は僕、教場に行って声をかけるんです。そこだけではなく、記録会のタイムを見つつ、メンバー編成をするかどうか、本当難しいとこなんですよ。今までやった候補生もそのまま見てあげたいし、でも頑張って神山クラスに入りたいって思ってる人も入れてあげたいし、その辺がとても難しくて、滝澤さんと相談しながら考えています」



〇とはいえ、人数が増えれば各個人の見る時間も少なくなるし、難しそうですね。

「そうなんですよ、本当に難しくて。神山クラスに入って強くなってる候補生も多いと僕は思っているですけど。今の神山クラス候補生はAから6人、Bから6人ですが、B教場の神山クラス生が強くなって、全員Aに移る可能性もありそうなんです。そうすると、Bからは新たに6人選ぶことになると思うんです。でもAの12人の中から6人だとしたら、6人はもう落ちるというか。だから、悩ましいんですよね。
上から序列で1位から70位までついて、35位でAとBで分かれるんですけど、そうすると、せっかくBからAに入ったけど、もしかしてAのビリよりも、Bの1位が神山クラスに入る可能性があるんですよ。これは本当に難しいですね。かといってきっちりとした明確な判断基準みたいなものないので。
あと、僕は朝練習とかをチェックしてるんですね。
自主練で頑張ってる人も選びたいからなんですが、全然、朝練習してない人がいっぱいいるんです。でもその中でも強いのもいるんですね。一応神山クラスではしっかりとその自主練とかそういう朝練習とかやった方がいいって話はしてるんですよ。だけどその神山クラスの中にいる候補生でも全くやらないのもいるんですよ。その辺も本当に選ぶのは難しいんですよ」

〇でもこの後どんどん競走訓練が入ってきて、どのように考えていますか?

「その辺も本当にわからないので滝澤さんにちゃんと相談しながらやろうかと思っています。
全体的に見てあげたいし、プラスアルファ神山クラスは見ますけど、全体に声をかけながらっていうのが基本なので。神山クラスで接する候補生は見る場面は多くはなるんですけど、基本的には皆を公平に見ています」

★1回目は神山クラスについて取り上げました。
このインタビューは第2回記録会の最中に行われましたが、早期卒業タイムを切った候補生が2人出て、この1人が何と神山クラス生でした。
しかもこの1人は元々長距離系の候補生で、小笠原匠海候補生です。
短距離種目はあまり得意ではない特徴を持つ小笠原候補生が早期卒業タイムを切りその成果が早くもでたというところでしょうか。
また今回ゴールデンキャップを獲得した松田祥位候補生も神山クラス生です。中長距離種目のナショナルチームの候補生ですが短距離種目でもタイムを出してきているのはやはり神山クラスの成果だろうと思います。
神山クラス生を今後も追って行きたいと思います。

さて2回目の簡単な予告は、神山所長の「現役の時のお話」です。こうご期待!

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE

related articles