1988年5月8日に花月園競輪場でデビューした神山雄一郎氏。特別競輪を16回も獲得した名将が2024年12月23日の取手競輪場を最後に選手生活を終えました。競輪を愛し、競輪に愛された神山氏。引退記者会見でも涙ながら競輪の素晴らしさを語る姿が印象的でした。
こんな素晴らしい競技は世界中で探してもないんじゃないかと思うんです
神山雄一郎
「取手競輪を最後に引退させていただく決意をしました。本当に長い間ありがとうございました。辞めるにあたり何の準備もしていませんが、自分の心の中をしっかりと話したいと思いましたので今ここで少し長くなるかもしれませんけれども、話させていただきます。36年間に亘り競輪関係者の皆様、中野浩一さんをはじめ先輩や後輩、地元宇都宮の選手、JKAの皆様、ファンの皆様、競輪場の宿舎で働いておられる皆様、宿舎で食事を作ってくれる皆様、本当に長い間お世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。36年間素晴らしい競輪人生だったと思います。本当にありがとうございました」
-引退を決意した経緯は?
「自分でもいつ決めたかは定かではないんですが、引き金となったのは函館の失格が考える第一段階になって、競輪は好きなので、できるなら一生やり続けたいけど、一生はやれない仕事なので、いつかは引退しなきゃいけないので、それを考えたのがその時でした」
-今の心境はいかがですか?
「本当の心境は『こんな日が来ちゃったよ』というのが本当の心境で、競輪が好きだったので、できたら一生やり続けたい、それも上位で戦い続けたかったので、本当にこの日が来てしまったのかというのが一番の心境です」
-印象に残っているレースは何ですか?
神山「やっぱり初めて獲った宇都宮の地元のオールスターが一番心に残っているかもしれないですね。でも、レースのレベルに限らず昨日のレースとか心に残っているレースはたくさんあって決められないんですけど、やっぱり特別競輪を獲れたことは心に残っています」
-通算勝利数の909特別競輪16優勝と、これまで積み上げてきた記録について今、振り返られてどうですか?
「率直に言いますと『よくやったな』という感じですね。なんとしても特別競輪を優勝したいという気持ちでデビューしたので、そんなに勝ったのも信じられない感じです。昔、ふるさとダービー函館の前夜祭で滝澤正光さんと話した時に、どのくらい優勝したのか聞いたら『俺はまだ12回だ』って言っていて、びっくりして、滝澤さんは12回も優勝したのかってすごさを感じたんですけど、まさか自分が抜けると思ってなかったです。けど、今となっては自分も16回獲れて、ただ本当に1レース1レース積み上げていって、決勝に乗る人はたくさんいるので自分が歩んできた競輪の練習とか競輪に対する姿勢を評価するのはこれを獲らなきゃいけないっていう気持ちが、もしかしたら他の人よりも強かったかもしれないので、その分なんとか特別競輪の決勝戦で結果は残せたけど、決勝戦に乗っている数もすごく多いのでもしかしたら割合はあまりよくなかったかもしれないですね(笑)」
-神山さんが思う競輪の魅力は?
「もちろん自転車も好きですけど、競輪が好きなんですよね。この競輪を作ってくれた倉茂貞助さんにすごく感謝していて、こんなに素晴らしい競技は世界中で探してもないんじゃないかと思うんです。勝った負けたがあって、こういうと車券を買っている人にどう思われるかわかりませんが、負けたとしてもやり切ったレースがあって、勝ったら勝ったでいいけど勝っても釈然としないレースもあって、負けの中にも価値があって、競輪選手としての魅力があって、すごく僕は競輪の魅力にとりつかれたんだと思います。後輩にも話すんですけど、やっぱり目先の1勝は欲しいのはわかるんですけど、今日の負けの中に何を感じ取ったかがすごく大事だと思って、僕はそこに魅力を感じて、その戦い戦いの中で競輪競走の奥深さがあります」
-何千人と戦ってきたと思いますが、神山さんが強いと思った選手は誰でしたか?
「それは本当に数えきれないくらいいるし、魅力的な選手が本当にいっぱいいるので、強い弱い関係なく、皆、素晴らしいです……。ただ同世代だった吉岡稔真君は自分の中でライバル視して、常に頭の中に置いて練習して、吉岡君に認められる選手になりたくて頑張ってきたつもりです。本当に言いたいのは、競輪選手いい選手がいっぱいいて、その仲間が皆ライバルである僕を応援してくれたり、引退するにあたって言葉をかけてくれたり、本当に競輪っていいなと思ったり、皆、競輪学校を受けて、一生懸命に頑張って上を目指して、一緒に戦ったり、そういう選手は自分の財産だと思います」
-ファンへの方々へメッセージをお願いします。
神山「デビューしてから最後まで、たくさん応援していただいたファンの皆さんには本当に感謝しかありません。今後も何らかの形で競輪界に携わっていければいいなと思いますので今後とも応援していただければ嬉しいです。本当に長い間ありがとうございました」