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パリオリンピック・トラック自転車競技開幕直前!中野浩一日本自転車競技連盟・選手強化スーパーバイザーがパリオリンピックまでの道程を振り返る
インタビュー 2024.07.31

パリオリンピック・トラック自転車競技開幕直前!中野浩一日本自転車競技連盟・選手強化スーパーバイザーがパリオリンピックまでの道程を振り返る

#スペシャルインタビュー

パリオリンピックがついにスタートしました。東京オリンピックから3年、大きく進化したトラックジャパンチームについて、中野浩一氏にインタビューしました。

競輪ファンとしては特に競輪選手が出場するトラック自転車競技が気になります。

8月6日から11日までは眠れない夜を過ごすことになりそうですね。

パリオリンピックに出場するトラック自転車競技出場選手及びチーム関係者

パリオリンピック・トラック自転車競技の舞台となるナショナルベロドローム

まだ競輪選手の誰が出るか知らない方々にここで再度取り上げると

(男子)
小原佑太 青森 115期 
中野慎詞 岩手 121期 
太田海也 岡山 121期
橋本英也 岐阜 113期
窪木一茂 福島 119期

(女子)
太田りゆ 埼玉 112期
佐藤水菜 神奈川 114期
内野艶和 福岡 120期

以上の8名が出場します。

種目は
短距離 チームスプリント スプリント ケイリン
中距離 チームパーシュート マディソン オムニアム

以上の6種目が男女共に行われ、計12種目ですが、日本は女子のチームスプリント以外の11種目に出場します。

男子チームスプリントに出場する長迫吉拓、太田海也、小原佑太

短距離女子の太田りゆ、佐藤水菜。
短距離男子の太田海也、中野慎詞
女子チームパーシュートの内野艶和、池田瑞紀、梶原悠未、垣田真穂。マディソンには内野、垣田が出場。オムニアムには梶原が出場
男子チームパーシュートの今村駿介、橋本英也、窪木一茂、中野慎詞
男子マディソンに出場する橋本英也、窪木一茂。窪木はオムニアムにも出場。

ではインタビューです。

今回のパリオリンピックは、男女6種目合計12種目あるトラックの中で女子のチームスプリント1種目だけ途中で諦め、11種目出場となったのは初めてだからね。そして出場する種目はどの種目も入賞は目指せると思います。

男子のチームパーシュートはいろいろ事情があってあのメンバーになったから、その辺をどのようにクリアしていくということもあるけど、あの形(中野慎詞がチームパーシュートに出場する)で上手くいっている国もなくはないからね。

まずは出場する全ての種目で入賞以上を目指してもらって欲しいですね。

〇今回のパリオリンピックは12種目中11種目にエントリー

ほとんどフル種目でオリンピックに出場するという事はようやく強化が実を結んできたということです。

メダル獲得の悲願であるケイリンという種目は、これはそれこそひょっとしたら取れるかもしれないよっていうぐらい、その逆もあります。絶対はないという。

取れないかもしれないし、うまくいけば取れるしという、言い方を以前からしていたのですが、それが今回はよりメダル獲得の可能性が高くなったと言い切れるところまで来ましたね。絶対ではないですが、でもうまくいけば本当に男子女子ともに、金メダルまでいける可能性はあるかなと思っています。

スプリントはどうしても、力対力の勝負なので、最初の予選のタイムトライアルが勝負になるかなと思います。今のタイムを見ていると、佐藤水菜あたりは結構いいタイムを出せるようになっています。

あとは、本人の気持ちがその時に、その大会に向けてMAXになってくれればいいですね。太田海也の方もスプリントは安定した形で走っているから、こっちもチャンスあるのではないかなと思います。

男子チームスプリントは今のところ、結構上位に入ってくると思っています。

後はうまく走れるかどうか。フランスで合宿をやった結果がうまく調整できるかにかかっているのではないかなと思っています。

〇ここまでの強化が実を結ぶ

自分はいつも言っていたけれど、やはり強化は1年やったから強くなるものではないし、継続してやっていかなければいけないですね。

過去のオリンピックではメダルをいくつか取っているけど、最初のロスオリンピックの坂本勉のスプリント銅メダルは、もうちょっと例外でその時はアマチュアだったからですね。プロアマをオープンしてからのメダルっていうのは十文字貴信(アトランタオリンピック)がたまたま1000mで銅メダルです。この時は、たまたま自分が解説したけど、あの誰かが失敗しないとメダル取れないよと言ったら、しっかりシェーン・ケリー(オーストラリア)が失敗してくれて、銅メダルを取れたというレースでした。

その後のメダルがアテネオリンピックのチームスプリントの銀メダル獲得。あれは逆に、びっくりしたよね。驚いてNHKに電話したぐらい。金メダルは取れなかったけれども、当時の世界記録にほぼ近い。そのときのタイムは44秒ぐらい。

(予選44秒355 1回戦 44秒081 決勝 44秒246対戦したドイツは43秒980)

43秒台になって早くなったねって言いながら、もう今42秒台、それも前半じゃないともう勝てなくなってきました。

今、世界記録は41秒台です。42秒を切っています。そのタイムが出るというのは、機材の進化もかなり大きいのではないのかと思います。当然、ギヤ倍数も全く違うし、当時と今はそういう部分で、強化がしっかりやっていかないとやはり追いつかないということですね。

それをリオオリンピックが終わって、何とか本格的に東京オリンピックに向けてしなくてはならないという中で、まずは、チーム種目は少し難しいけれども、個人種目で何かメダルを取れるようにという強化を始めました。それが結果として今出ていると思います。

東京オリンピックのときに、男子チームスプリントでの出場を逃したのが非常に大きかったのでそこもしっかりとやって今回を迎えたということですね。

〇大躍進は中距離。

中距離は、これはやはりコーチにあると思います。中距離の専門のコーチを呼んで、強化したっていうのが大きいですね。それが今回中距離も非常に良くなってきたところだと思います。

〇2016年から長期計画の結果今実る

イギリスを見ていると、2008年北京オリンピックではイギリスの成績がすごく上位に来ていました。その後の2012年ロンドンオリンピックを目指していたからということで、それがそのまま強化していき本当にロンドンではしっかりメダルを取りまくりました。日本チームの強化体制はイギリスの強化体制をずいぶん参考にして今の体制を作り上げました。

〇東京は間に合わなかった?

間に合わなかったっていうか、東京のときには、それこそ男子チームスプリントをなんで逃したんだろうみたいなところはあります。ほぼ出場するだけの力はありましたが肝心なところで、最後の最後の大一番で失敗して出場を逃しました。個人種目のケイリンは、それこそ脇本、新田は、世界選手権でメダルを取っているわけだから別に勝ってもおかしくないっていうとこまで来ていました。世界選で3年連続銀メダルを取ったのが非常に大きかったのですが、しかしメダルは取れませんでした。今回は東京の失敗を今回繰り返さないようにというのが一番のポイントだと考えています。

今回の日本チームの成績に是非期待してほしいと思っています。

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