900勝したら緊張から解放されるのかと思ったら…発走機に向かう前の緊張感は同じでした。
2023年6月3日函館S級シリーズ初日に900勝を達成した神山雄一郎選手。900勝達成のインタビューを函館サマーナイトフェスティバル&ガールズケイリンフェスティバル2023期間中に行いました。神山選手にとって思い出の地でもある函館でインタビューできるとは思ってもみませんでしたが、そこで、900勝達成までの道程や競輪への真摯な想いなどを語ってもらいました。
-まずは900勝(6月3日函館S級シリーズ初日)を達成した時の心境は?
「最後の1勝はけっこう時間がかかったので、ホッとしたところが大きかったですね」
-達成されて、(函館のインタビューでは)涙も見られましたね。
「相当…苦しかったというか、プレッシャーを感じていたので」
-今までもプレッシャーを感じる場面はたくさんあったと思いますが、どう違いましたか?
「違う感じでしたね。なんというか優勝をするプレッシャーとは全然違いますね。あんまり感じたことのない人のプレッシャーというか、同じ開催の選手たち『あと1勝頑張ってください』って声をかけられて、記者の方も必ずその話になるし、ずっと自分を追い掛けているカメラマンさんもついてきていて『どう思われているのか?』それも気になってて、『いつまでやらせるんだよ』って思われているんじゃないかって、そういうプレッシャーでした(苦笑)。そういう人からのプレッシャーがきつかったです」
-達成された時は解放感もあったんですね。
「それはありましたね。プレッシャーから解放されたというか、プレッシャーから解放させてあげられたというか、その気持ちの方が大きかったですね」
-900勝までを振り返るとどうでしたか?
「そんなに気にはしてなかったです。900勝はそんな節目でもないですし、500勝とか1000勝とかじゃないんで。でも、周りがそう言うから自然とそういう風になっていっちゃいましたね。でも、そこで終わるわけではないし、通過点なわけですからね。でも、その通過点がすごく重かったですね(笑)」
-900勝の中で一番印象に残っている1勝は?
「やっぱり初めての特別競輪を優勝した時が一番嬉しかったですね。でも、この間の900勝も嬉しかったですし、それほど嬉しさに差はないかもしれないですね」
-これからの新たな目標は?
「これといって決めてはいないんですけど、なんとかS級優勝したいですね。そのために今練習しているというか、あんまり大きいことは言えないので。記念獲るとかグランプリに出るとかそういう大きいことは言えないのでしっかり自分を見つめて、かろうじて届くかもしれない目標としてはFIのS級で優勝を目標として定めている感じです」
-函館競輪場はいかがですか?
「函館は思い出深くて、S級でデビューした時も函館で地元勢を連れて先行した思い出もあるし、記念でバンクレコードを出した思い出もあるし、この前破られちゃいましたけどね。それからふるさとダービーも獲ったし、800勝、900勝とちょっと節目の部分がちょっとある感じはしますね」
-1000勝はどうですか?
「それはちょっと厳しい気はします(笑)。
なかなか900勝まで何カ月間かかかったし、その度に発走機についた時にすごい緊張感があって、その緊張感から逃れられるかと思ったんですけど逃れられず(笑)、同じ緊張感がずっとあるのできついなっていうのはありますね(笑)。結局はどのレースに向けても一生懸命なんです」
-神山選手は無類の自転車好きだと思っていますが。
「自転車も好きですけど、競輪というものが好きなんだと思います。競輪は無差別級だし、年齢制限もないし、道具も使うし、お客さんのお金もかかっているし、これは奥が深いですよね。どこのレベルで走っていてもお客さんにしてみれば同じなんですよ。そのお客さんの期待に応えるということは、一般戦でも決勝でも結局は一緒なんですよね。それがすごい競輪の魅力というか、それが競輪をやめられない理由かもしれないですね。その責任感が僕の上にのしかかっているのかもしれないですね。だから、第1レースだとしてもしっかりアップしてきちんと発走機につくわけじゃないですか。そこは適当にはできないというか、一生懸命やることに対しての結果がこうやって着として出るので、それに対して喜びも考えさせられる部分も両方あるので、それがだから辞められない理由でもあるのかもしれないですね」
-神山選手が自転車に乗らなくなるとしたらそれはどんな時ですか?
「わからないですね。結局、カッコいいことを言っててもA級に落ちたら辞めるかもしれないし、その辺はちょっとわからないですね。前期、点数的に厳しい部分があったんですけど、点数が取れなかったら1月からA級になるかもと思ったら怖くて、頑張らなきゃって思ったんです。なんとか耐えきったんですけど、僕にとっては進退を期するのはそこになるかもと思ったけど、その時になって自分の力をしっかり把握して仕方ないと思ってそこに臨むか、その時になってみないとわからないですし、なんとも言えないですね」
-1000勝を目指して欲しいですが。
「いやいや、年間10勝だとしてあと10年とか冷静に考えてみて、ちょっと厳しいと思うけど(笑)。力がある内にA級に落ちて年間15勝、20勝としていけばあるかもしれないけど、皆そう言いますけど、その話は簡単に乗らないです(笑)。一生懸命にやるだけですよ」
-では、最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。
「ファンの方が応援してくれるから、1着を取った時にわぁーって声援をくれるから、それがあるから頑張れていると思うし、ファンの皆さんがいてくれてこそだと思っているので、今後も応援していただければと思います」