大ベテランが頑張っている。3月に58歳を迎える紫原が1着を量産している。それだけでなく、車券にも貢献している。今年初戦の小松島から別府、平塚と3開催連続で予選は1着。それ以前の初日も、しっかり勝ち上がっていた。加えて面白いのは、ほぼミッドナイト開催かナイター開催ということだ。
「朝は弱い。だからナイターとかミッドナイトはうれしい。体が反応してくれるから」
そう言って目尻を下げた。
別府が終わった後、話を聞いてみた。
「予選はほんと、展開ですね。若い子が前で頑張ってくれているから。準優はやはりレベルも上がるから」
冷静に分析してみせた。それでも予選では車券に貢献するなど、年齢を感じさせない動きでファンを沸かせている。何より、競走得点88点前後をキープしていることが、若手の見本になっている。
後日、平塚での走りを聞く機会があった。一次予選は初連係の緒方慎太朗が打鐘から先行。
「緒方君は初めてだったけど、スピードも良かったし、何より気持ちが伝わってきた」
別ラインの反撃をしっかりけん制しながら抜け出した。
「緒方君を残せれば良かったが」
勝ちはしたが、納得はしていなかった。準優は熊本の徳永泰粋が前を取り、紫原はしっかりマークして流れ込んだ。
「いつ以来の決勝か忘れた。若い子に付けていけたし、いいね」
ご満悦だった。
好調の要因を尋ねると、こう答えた。
「ずっと右足の親指の爪が剥がれて、新しい爪が出てきても完全じゃなかったけど、最近やっと爪が完全に生まれ変わった」
力が伝わるようになった、ということだろう。決勝は6着に敗れたが、
「上出来。良く頑張った。ただ、これで終わりじゃなく、まだS級に復帰して頑張りたいから」
体力的な衰えはあるかもしれないが、紫原にはそれを補って余るほどの競輪に対する情熱がある。