順調にすくすく
今年5月の広島で初優勝を果たすと、6月の松山そして別府で連覇を達成した。流れをつかんだ今はノビノビとバンクを躍動している。「スピードはまだまだですけど、粘りは出てきたと思います」と自らも好調を自覚している。
この別府開催は直前まで、V戦線を担う地元、九州地区の中心的存在と目され期待がかかっていたが、直前に急遽熊本の谷口力也が追加で参戦してきた。谷口は直前の6月武雄で優勝しており、〝中0日〟での流用による参加だった。「谷口さんが来ると思わなかったです。絶対に自分をつぶすために追加を受けたんですよ(笑)」と前検日には戦々恐々としていた。
そこまで谷口を意識するのには理由があった。6月松山の決勝で谷口と対戦し、力比べを制していたからだ。「それまで谷口さんと戦って2連敗していたので。やっと勝てました。これで1勝2敗。同期ですし、もちろん意識しますよ」。
初日予選、2日目準決はお互いに本線を担う看板として別レースを走ったため対戦することなく、勝負は決勝へ持ち越された。決勝メンバーが出揃うと、同じく決勝に乗った平総一を交え九州3人で話し合いが行われた。平が事前に「どっちが前でも3番手だよ」と話しており、両者が並ぶ可能性も考えられたが、林は「僕は番手はムリです。絶対ムリ」と拒否し、谷口も「自力がいいです」と決意を示したことで、結局は別線対決となった。
谷口には同県の平が付き、林は単騎で自力のつもりだったが吉原友彦―高橋健太の南関コンビが後ろを固めることとなりラインは一気に分厚くなった。林は「単騎と3車じゃ全然違う。デカいですよ!」と相当喜んだ。
レースは打鐘前から出切って先頭に立つと、別線の反撃を完ぺきに封じ込めて4角へ。タテ型の吉原に絶好展開が訪れたと思いきや、絶妙な踏み直しで吉原の追随を振り切り優勝した。
これで谷口との対戦は2勝2敗のタイに持ち込んだ。もちろん、2人は検車場でもずっと話しており好敵手。切磋琢磨を重ねて、経験値を上げていく。小倉競輪場を賑わす林兄弟の3男坊だ。元々、潜在能力は高い。