広島競輪が、11月30日のモーニング開催を皮切りに新たな歴史を刻む。続いて12月7日からのFⅠ戦、そして本番の広島記念(GⅢ)は12月20日に幕を開ける。
まだ斡旋メンバーは発表されていないが、地元の大川龍二はこの記念を最大目標に照準を合わせる。
「松浦(悠士)はS班で、その直後にグランプリがある。できれば、そっちを走って欲しい。S級1班は自分と町田太我、池田良の3人。だからこそ、記念は走れるものだと信じて調整している」
新バンクの引き渡しは10月末予定。すでに試走会も行われた。宿泊施設「せとうちサイクルステイズ広島宇品」(123室)も併設され、選手宿舎としても利用される。
「過去には廃止の危機もあった。こうして新しく生まれ変わるなんて信じられない。これからはナイターやミッドナイトも開催予定。過去にGⅠ開催はなく、共同通信社杯競輪(GⅡ)やふるさとダービー(GⅡ)ぐらい。綺麗になったバンクで、現役バリバリのうちにGⅠ(第42回読売新聞社杯全日本選抜競輪 2027年開催決定)を走ってみたい」
バンクが使えなかった影響からか、広島勢の成績は低迷した。
「僕自身もそう。だけど、これからは上がっていくだけ。今は中四国の勢いがないし、太田海也ぐらいで、松浦先生もケガで休んでいる。FⅠの優勝者も減っている状況だし、俺ら世代が若手に背中を見せなきゃいけない」
そんな大川は3児の父でもある。
「上は13歳、11歳、下が3歳。娘2人と息子1人。反抗期もなくて仲良しですよ。買い物に一緒に行くとか、まだ一緒に寝ているくらい(笑)」
この開催の初日、大川は地元・岩津裕介を引き連れて先行を魅せた。「近畿に厳しい競輪があるように、中四国も中四国の競輪がある。今の若手は岩津さんがGⅠ覇者なのを知らない世代になっている。俺ら世代が、若手に走りで魅せて行かないと」。そして、決勝では昼田達哉、岩津の3番手から突き抜け、久々の美酒を味わった。
「中四国の競輪を盛り上げるのは俺たち世代の役目」――。
大川の言葉が、新装バンクの門出を鮮やかに彩っている。