2017年7月にデビューした川越。2020年にはS級に昇格し、やっとS初優勝を飾った。直線が短い奈良。自力型の川越にとっては苦戦が予想されたが、予選から抜群のレースセンスとスピードを生かして、栄冠にたどり着いた。喜びを爆発されている中、3日間を振り返ってもらった。
5月伊東FⅠ準決で落車・失格の憂き目に遭った川越。「右の肩鎖関節を脱臼してしまい、その後感染症にもかかって」と復帰までの長い闘病生活を振り返った。「自分は体が動けば走ります。走りながら徐々に感覚をつかんでいくタイプなんです」。復帰初戦の8月西武園記念は2日目の2着が最高だった。
迎えた今開催。予選はまくり圧勝。「車番も良くなかったし、後ろ攻めは想定内」。準決は和田健太郎の援護を受けて先行し2着。「2分戦だったし、後ろが和田さんだし安心して走れた」。そして決勝。抑えにきた太田竜馬の番手にスッポリとはまった。「先行しようとする気持ちがあったから、あの位置が取れたと思いますね」。後はタイミングを見計らって仕掛けるだけ。和田の猛追を凌ぎ、見事初優勝を果たした。「嬉しいです。ここまで長かったです。いいところまで行くと落車してケガに泣いたり」と、神妙な面持ちで振り返っていた。
自力を基本に追い込みもこなせるオールマイティーなタイプ。それでも「勝ち上がりにおいて自力で勝てないようならダメですから」とあくまでも自力がメインだ。「優勝はできましたが、和田さんをはじめ、自分の後ろについてくれた人がいたからこそです。自分一人の力では勝てません」と謙遜した。
次なる目標はグレードレースでの活躍と優勝だ。「ケガは完治していないけど、戦える状態ではあります。もっともっと上を目指します」と精悍な顔つきで答えた。次の舞台は高校時代を過ごした青森での記念開催になる。「奈良は奈良。準地元の青森で頑張ります」と元気よく答えてくれた。