約1年ぶりの優勝だった。杉森輝大が、宇都宮で完全Vを果たした。「素直に嬉しいですね。昨年9月の京王閣以来かな、長かったです」。今開催は決して万全の状態で臨んだ訳ではなかった。「調子は良くもなく悪くもなくでした。それが、いざレースになると信じられないくらい自転車が前に進みました」
本来は自力の杉森だが、この開催は3日間、人の後ろを回った。「GⅡ、GⅢならそういうこともありますが、FⅠで3日間、自力なしはレアなケースでした」。初日特選は坂井洋の6番手から、まくりに乗って抜け出した。「坂井君の強さは分かっているので安心して付いて行けました」と余裕。準決は末木浩二を目標にした。末木が先行態勢に入り、3番手は纐纈洸翔と簗田一輝の並走になるという展開。「3番手で競っているのは分かりました。ただ6番(五十嵐綾)が凄い勢いで来ていたのでそこだけ気をつけました」。初日特選に続いて有利な展開をしっかり生かして連勝で勝ち上がった。
優勝戦は関東勢が5人。準決で目標にした末木とは別線になった。付けたのは坂井。後ろには同県の芦澤大輔。人気はもちろん、栃茨勢に集まった。武田亮が先行し末木が追走。その3番手を坂井が奪い周回。バックから坂井が踏み出し、杉森が余裕の差し切りで3連勝を決めた。「変に力が入らなかったのが良かったかもですね。優勝だけではなく、3日間そんな感じでした」
この優勝の前にもGⅢの取手や小松島でもチャンスはあった。FⅠでも優出しながらそれをモノに出来なかった。「そうなんですよ。チャンスはあったのにそれをモノに出来ないのは自分の力不足です。ただ、準備はしっかりしているので、うまく流れに乗るころができればと思っていました。それが今回だと思います。それにしても3日間、自然と自転車が流れていました」
杉森の実力からして1年ぶりの優勝とは信じがたいが「そんな甘いものじゃないですから。もっともっと上を目指して頑張ります」と喜びと共に決意を口にした。