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直送!競輪場便りfrom 松戸競輪場 三谷政史(奈良93期)
インタビュー 2025.09.03

直送!競輪場便りfrom 松戸競輪場 三谷政史(奈良93期)

#競輪場便り

今期からS級に復帰した三谷政史が、松戸記念燦々ダイヤモンド・滝澤正光杯の舞台で躍動した。「初日をしのいだのが全て」というように、一次予選を5着ギリギリで突破した。「5着で大丈夫なのは分かっていたけど、まさか本当に5着だとは」と冷や汗の突破に苦笑いだ。

 この時点で調子がいいのか悪いのかは分からなかったが、二次予選では近畿で中井太祐と連係。ここで三谷が追い込みとしての役割をしっかり果たした。小畑勝広が先制すると中団を欲しがった島川に対し、絶妙に内を締め、中井を4番手に迎え入れた。「たまたま」と謙遜したものの、熟練の技だった。こうやって位置を確保してくれれば、前を走る選手は感謝だろう。結局、中井はまくり不発だったものの、三谷は4コーナーを回ると内に切り込み、2着でゴールした。「やっぱり競輪は番手」と満足そうだった。準優は位置がなく単騎の競走を強いられたが、初手から関東勢の4番手。「何となく関東が逃げるだろうと思っていた」。道中は踏み遅れて離れてしまったが、ベテランらしいリカバリーで3着と決勝への切符を手にした。「流れが見えていたから。対戦相手は何度も何度も走っているから、癖が分かる。この選手は内を開けるとか、ね」。

 競走得点は90点台ながら、ベスト9として決勝に臨んだ。福岡が3人、関東が3人、三谷は近畿ひとりながら本戦の深谷知広・岩本俊介の3番手という絶好のポジション。深谷が漢気先行を見せ、岩本が最終バック過ぎから番手まくりを放つ。3番手の三谷にとってはこの上ない展開になった。「深谷君が強過ぎた。凄いよ彼は。久しぶりにあの感覚を味わえたことは良かった」と5着の結果にも充実感が漂っていた。あの感覚とは、深谷のスピードもそうだが「凄いお客さんが入っていたじゃない。選手はお客さんの声援で熱くなれる。またこの場所でしっかり戦いと思った」とレース後に振り返っていた。

 約3年前にヘルニアを患い成績は急降下してしまった。「左足の感覚がなくて正直、引退も考えた」。だが腐らず練習していると3月の岸和田で「自然と車が前に進んだんです。理由はわからないけど、肩の力が抜けたというか」。これが契機になって脚が動くようになった。「僕は絶対に最後まで諦めませんから。負ければ悔しいですからね」。大舞台で5着も開催中から多くの話題を提供してくれた三谷だった。

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