特別な日に地元で初勝利
常に笑顔で周囲を明るくし、先輩後輩、老若男女を問わず誰からも愛される青木美優は、地元の宇都宮で開催された「第1回女子オールスター競輪」の別概定(トーナメントA)に「地元で行われるビッグレースだし頑張らないと!」と並々ならぬ思いで参戦した。
場内はGⅠにふさわしい盛り上がりを見せ、地元選手が出走すると周回中から大きな声援が送られた。青木の耳にも「ミユウ、ミユウ」の大コールは届いていたようで「すごくありがたかったし、なんとか結果で応えたかった」。しかし予選1、予選2はともに7着――。
「練習の感じは良かったし、いつも見てくれている(練習仲間の坂本)英一さんや宮原貴之さんからも『大丈夫』と言ってもらえて、自信を持って臨んだんですが…」と落ち込んだが、それでも『また明日頑張れ~』などと励ましてくれたファンの言葉に気持ちを奮い立たせ、最終日の一般戦へ気合を入れ直した。
最終日の8月10日は青木にとって特別な日。「お母さんの誕生日なんです」今は天国で活躍を見守り続けてくれる大好きな母を思いながら臨んだ一戦は、佐藤亜貴子のまくり追い込みに乗ると直線で目いっぱい差し脚を伸ばした。「亜貴子さんもその日が誕生日なのは知っていたんですけど、ごめんなさいって思いながらハンドルを投げました(笑)」
これが意外にも地元の宇都宮バンクでの初勝利。地元選手ということで勝利者インタビューも行われ、ファンへのタオルの投げ込みは「喜んで『10個お願いします』って言いました。自腹ですけど(笑)」と“大量のタオル投げ込み”で感謝の気持ちを示した。
「本当は初日からこういう走りをしたかったっていう悔しさはあるけど、それでも練習でやってきたことは間違っていなかったんだなと再確認できたのはよかったです。また頑張ろうという気持ちにもなりました」
2025年の8月10日は、青木にとって一生忘れられない1日となったはずだ。