1月にS級に昇格し、今期が2期目。前期はA級時代のパンチの効いた自力が通用せず、厳しい戦いを強いられた感があるが、ようやく明るい兆しが見え始めた。記念5度目の参戦となった小松島「阿波おどり杯争覇戦」、初日一次予選は6着で敗退となったが、2日目に鮮やかなまくりでGⅢ初白星を挙げた。
同期対決の梁島邦友が赤板で叩き、3番手を追走すると、打鐘で追い出しをかける動き。内では菅野航基も位置を狙っていたが、長尾マークの吉田健市が菅野をさばいて3番手に付き直す。「梁島さんがやる気だったし、行くふりをしたら踏んでくれた。吉田さんが入れてくれたおかげ。あの位置が取れたら、あとはバック線目がけて力を出すだけでした」最終バックから踏み出すと、後続を一気に突き放し、2着に5車身差を付けて圧倒。それでも、猛暑の中で力を振り絞って「キツすぎて後ろも見えなかった。風も向かっていたのか、追っていたのか…」と汗をぬぐった表情は、勝利の余韻に浸るような雰囲気ではなかった。
3日目は打鐘先行で果敢に挑んだが、鈴木薫にまくられ完敗。気を取り直して臨んだ最終日は、同県の棚瀬義大の番手を得て、梁島との再戦。棚瀬が先制、最終バックでまくった梁島にスイッチする形で外を伸び、シリーズ2勝目を挙げた。「梁島さんは止めたかった。今後に生かしたい。ただ、6月にフレームを換えてから感触はいいですね。初めて記念で成績をまとめられたし、よかった」と、ようやく笑顔を見せてくれた。
逸材ぞろいの117期を、在所19位で卒業。岐阜を含めた中部勢は、GⅠクラスの自力型の成長が急務とあって、長屋にもその一翼を担う期待もかかる。「岐阜は若手が強いので、自分も追いつけるように」
スタイルは決して徹底先行ではないが、流れに応じて柔軟に攻める幅の広さは魅力的。今回の結果を糧に、大きく飛躍できるか楽しみだ。