A級落ちをバネに大躍進
木村皆斗の躍進が著しい。2025年前期はA級落ちの屈辱を味わったが、1月岐阜から3場所連続完全優勝。わずか4場所でS級に戻った。S級では3月取手から6場所走って4度の決勝進出。5月岸和田では2角まくりでS級初優勝も飾った。「初優勝できたのは良かった。でも、もっと優勝したいですね。まだまだ足りない」
初優勝は通過点でしかない。1度の結果に満足することなく、木村は貪欲に前を向いた。
昨年4月立川での先頭員早期追い抜きがA級落ちの要因となった。「情けなかった。しょうもない失格でA級に落ちてしまった」と振り返ったが、A級降級が木村の反骨心を呼び覚ました。
「A級に落ちたのが、なにくそと思えたのか、去年の12月くらいから練習量を増やしました。純粋に練習量ですね。今、取手は活気がある。最近は(吉田)拓矢さんや朝倉(智仁)さん、松崎(広太)さんたちと一緒に練習させてもらっている。めっちゃ刺激になりますね。ずっと強い拓矢さんがめちゃくちゃ練習する。弱い自分がこんな練習で、と思って増やしたのがはじまりですね」
脚力面の向上はもちろんだが、練習量を増やしたことでメンタル面にも変化があった。「やればやるほど不安がなくなる」
今は自信を持ってレースに臨めている。仕掛けにも迷いがない。
「仕掛けるところでしっかりと仕掛けられている。競輪には形がある。最近はその形を作ることを大事にしている。前にS級にいた時より、やれているな、と思います」と木村は胸を張った。練習仲間の吉田拓矢は5月名古屋ダービーで2度目のGⅠ優勝を決めた。目標とする選手が身近にいることは木村にとって大きな意味を持つ。「頑張って初優勝したけど、ダービーの拓矢さんに比べたら賞金は50分の1しかない。僕もグランプリやGⅠを何回も獲る選手になりたい。まだまだ先は長いです」
いい流れで迎える今月末からの地元GⅢは楽しみでしかない。さらにステップアップする4日間にしたい。