調整方法の変化で一丸尚伍が急上昇
昨年7月にS級初昇格した一丸尚伍。前期は5勝で準決勝進出が2回と苦しい戦いが続いたが、2期目の今期は奮闘中だ。3月の玉野記念でGⅢ初の準決勝行きを決めるなど、2節目の静岡FⅠから6節連続で準決勝に進出。4月佐世保FⅠの準決勝は坂井洋や小川真太郎を相手に逃げ切りを決めS級初の決勝進出を果たした。「“疲れが抜けていないんじゃないの?”ってアドバイスをいただいて、休むことも大事なんだと気付かされました。ロード出身なので、晴れていたらどうしても自転車に乗りたくなってしまう。どれだけ練習しても大丈夫なんですよね。特に自分が弱いっていう自覚があるから、とにかく練習しなきゃって思ってしまって。でも疲れを抜くように調整していたら結果が良くなりました」
練習はもちろん大事。しかし、レースに合わせたキーピングも重要だ。S級の戦いに慣れてきたのもあっただろうが、他選手からのアドバイスで疲労を抜くことを覚えたことも好調の要因になっている。「休む勇気も大事なんだって。やっとそのことを覚えました」
佐世保の決勝は同地区でビッグレース常連の山田英明の前で積極策。山田をVに導き、直後の青森FⅠ最終日は井上昌己の500勝に貢献した。
競輪選手としてデビューする前の2018年にはチームパシュートのメンバーでアジア選手権金メダルを獲得。競技で輝かしい実績を持つ一方で、競輪選手としてはなかなかブレイクを果たせなかったが、ようやくS級での存在感も増してきた。7月からはA級落ちが決まっているが、今期はS級点確保どころか、S級1班も夢ではない成績を残している。佐世保FⅠの準決勝では序盤からハイピッチで駆けて、実力上位の相手を翻弄した。「ああいうレースの方が持ち味を出せる。最後はいっぱいで3着かと思った。まさか逃げ切れているとは。こういうレース、しっかり力を出し切るレースを続けていきたい」
長く踏める持ち味を生かして、さらなる好成績を目指していく。