未知の世界を楽しみ、乗り越える
2010年の立川グランプリに、SSシリーズ風光るを含むGⅠ4度優勝の輝かしい実績を誇る村上博幸も今年4月で46歳になった。そして8月にはデビュー25年目に突入する。
「正直、自分がデビューする時にはグランプリやタイトルを取るなんてことは思い描けなかった。周りに助けられた年数かな。早かったと言えば早かったけど、まだ戦いの途中なんで」と、村上はデビューから24年を振り返った。
ここまではけがとの戦いでもあった。股関節や足首など後遺症の残るけが。2022年は1月大宮GⅢの落車で半年近く欠場したこともあった。「コロナで開催中止が増え、S班からも落ちて2021年頃は目標を見失っていた時期だった。そこで2022年のけがだったけど、あそこで自分を見つめ直せたから今がある。今は第2章という気持ちで競輪に取り組めている」。けがを乗り越えて、昨年11月競輪祭では4年9カ月ぶりにGⅠ決勝の舞台に返り咲いた。
ルール改正やギア倍数、レース形態と、ここまでさまざまな変化に対応しながら、第一線で戦い続けてきた。さらに年齢との戦いもある。「ペダリングスキルや体の使い方」など、強みとなる技術面を見つめ直して、パワーとスピードに特化した現代競輪でしのぎを削っている。
「いろいろ変わっても走れているのは、しっかり努力してきたからかなと思う。当然、やることも葛藤も多い。数字として落ちているなっていうのは感じるし、現状維持を考えると衰退する。この先は未知の世界になるけど、そこにどう対応して、打ち破るか。今までもけがをして、それを乗り越えてきたつもり。これからも強い意志で頑張りたい」
危機感や焦燥感はあっても、変化に向かっていく気持ちが村上とっては、いい刺激になっている。「けがや年齢は関係ない。戦っている自分が好きだし、これからも戦い続けたいって気持ちが強い。今は競輪をいつまでもやり続けたいと思ってます。結果や実績だけじゃなく、違う意味でも周りのお手本になるような選手になりたい」。競輪人生の第2章ははじまったばかり。ベテランになっても変化を楽しみ、克服していく。