海老根が本人もビックリの完全Vを静岡で成し遂げた。「いやあ、まさか優勝できるとは。優勝ですか?いつしたのか本当に覚えていないんです」と喜びを爆発させた。静岡の前の佐世保FⅠでは「初日にやらかしていたので」と自らを奮い立たせて臨んだ開催でもあった。
予選は南関ラインの菅原大也を目標にした。「大也が思い切り行ってくれたおかげですね。展開に恵まれました。ただ、大也を残せなかったのは自分の技量不足です」と反省も忘れなかった。
準決は「初めてだけど、予選でスピード抜群のまくりを見せていた蕗澤鴻太郎君」を目標に得た。「彼は踏み出しがいいので、そこだけ集中していました。車番が悪かったので後ろ攻めになるのはわかっていたけど、好きなように走ってもらいました」。阿部将大が前受け。蕗澤はいったん抑えにいくが、案の定突っ張られ6番手に逆戻り。「まずいなと思いました」だったが、4番手にいた友定祐己が内をしゃくって阿部の後位で番手勝負に出た。隊列が短くなったところを、6番手から蕗澤がまくり、海老根がゴール前で逆転。「前団がもつれてくれたおかげ」と連勝での決勝進出に口も滑らかだった。
「優勝は意識しない」で臨んだ決勝は、蕗澤・中村浩士の3番手。蕗澤が最終ホームから先行態勢に入り、阿部と先行争いになった。しかし蕗澤は出切れず。だがここで海老根は素早く切り替えた。「蕗澤君が本当に頑張ってくれたけど、ここはシビアにいかせてもらった」。阿部後位にスイッチし佐藤幸治と併走。そのまま4コーナーへ。そして一瞬の隙を突いてインから抜け出した。「まずは初日をクリアしたい。準決は展開が味方してくれればという気持ちで最近は走っています。それが今回は連日、展開に恵まれたし。最後は本当に必死でした」。
海老根も気がつけば47歳。「年齢的なものは感じますね。その分、きつめの練習をするのではなく、疲れを残さず整えていくことを第一に考えています。やりすぎると逆効果になりますからね」とベテランらしい落ち着いた口調で話した。久々すぎるVだったが、これを機にさらなる飛躍が期待できそうだ。