アマチュア育成の相乗効果
鈴木伸之の差し足が好調だ。昨年11月和歌山では初日特選から3連勝で、22年5月防府以来となる2年半ぶりの優勝を達成。今年は初戦のいわき平でもV発進を決めた。「最近は差しの決まり手がこれだけ付いている。それだけ差せるようになってきたということですね」。結果待ちではあるが、来期は16年前期以来となるS級復帰も見えてきた。
ここまで点数を戻してきたのには明確な要因がある。昨年4月から豊橋競輪が公式で行う競輪選手の発掘・育成プロジェクト「T―GUP」のコーチに就いたからだ。
「いいきっかけになりましたね。トレーニングを教えるには、まず自分がそれを理解しないといけない。勉強して、それを一緒にやって自分も足が付いた。それまでが甘かったんでしょうね。アマチュアを指導する反面、自分にも厳しくなった。相乗効果で、僕も10年ぶりぐらいのS級が見えてきた」
現在は鈴木と白井一機、佐々木恵理の3人がアマチュア育成に携わっている。佐々木も昨年夏場から決勝進出が増え、鈴木同様に成績を伸ばしている。
「T―GUPはこれまでガールズケイリン育成プロジェクトだったが、去年から、豊橋グランプリレーサー育成プロジェクトに名前を変えて、男女ともに育成することになった。養成所合格者もいい感じで増えているし、未来のスターを育成したい」
第2の深谷知広を発掘するのが、鈴木の目標だ。賞金も上がり、競輪選手は夢のある職業になった。最後に「またT―GUPのメンバーを募集しているので、豊橋競輪場のHPを見てくれるとうれしいですね」とPRも忘れなかった。