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直送!競輪場便りfrom別府競輪場 米丸俊成(熊本・72期)
インタビュー 2024.07.03

直送!競輪場便りfrom別府競輪場 米丸俊成(熊本・72期)

#競輪場便り

 6月18日に行われた別府競輪モーニング7の初日1Rは、五反田豊和が老練テクニックを発揮した先行で別線を牛耳ると、番手の米丸が展開有利に抜けだした。米丸は今年初勝利どころか昨年3月大宮最終日以来1年3カ月ぶりとなる白星で、ゴール後は幾度もガッツポーズを掲げた。「いつ取れるかわからないから、もう、たいがいガッツポーズしましたよ。お客さん、誰もいなかったけど(笑)」。1Rは8時30分発走と、まだ開門していない無人のスタンドへ向けて一心不乱に拳を突き上げ、ウイニングランに酔いしれた。

 昨年、左膝の半月板を断裂し11月に手術を行った。一時期は選手生命の危機にもさらされたほどの深刻さで、競走得点もガタ落ちした。「あるレースで内枠だったのでスタートを頼まれたんです。パンと出たら左ひざに激痛が走って…。そのあともずっと痛みをごまかしながら走っていたけど、病院に行って検査をしたら断裂していたんですよ。復帰してからも、左足をかばった踏み方になっているし、発走機から飛び出すときはトラウマが残っていて。実はもう辞めようと思っていたんです」と、いつまたぶり返すかわからない恐怖にさいなまされ、悲壮感が漂う日々を過ごしていた。それだけに、復活を示す1着を手にし、喜びはひとしおだった。

 選手生活31年目を迎え、7月には54歳となる。レースでは日々、親子ほど年齢の離れた若手選手たちに揉まれ、体はとっくのとうに悲鳴をあげている。それでも今は、頑張らねばならない材料がいくつかある。ひとつは愛娘・米丸乃絵の存在だ。2024年後期にA2級に昇格し、今注目を集める女子ボートレーサーで、破竹の勢いで成長を続ける娘の話題になると「最近、競輪場で聞かれるのは娘の話ばかりですよ。ボートと競輪は違うけど、自分ももう少しやらないと、って気持ちになりますよ」と相好を崩す。

 もうひとつは7月に再開する地元バンクへの思いだ。「ようやくですね。ここまでどうにかやれました」と熊本地震から8年4か月ぶりのホームの再開に思いを巡らす。別府開催には6月限りで代謝となった礒田義則もいたように、リニューアルした熊本走路を走りたくても走れなかった仲間たちの思いを引き継ぎ、まだまだ戦い続けなければならない。

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