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直送!競輪場便りfrom玉野競輪場 久田裕也(徳島・117期)
インタビュー 2024.06.19

直送!競輪場便りfrom玉野競輪場 久田裕也(徳島・117期)

#競輪場便り

 各レースで勝者は基本1人しか発生しない。残りの選手は全員敗者ということになる。勝ちを目指して競う競輪は、実は「負けるスポーツ」なのだが、そこから何を学び、何をつかむかが次の勝利へつながっていく。今、久田がその渦の中で、ひたすらもがいている。

 20年7月のデビューから、強烈なタテ脚を武器にA級ではほぼ「負けない選手」だった。21年12月に3場所連続完全Vを達成し、S級特昇を果たす。ところが、上位選手との対戦では歯が立たず、わずか1年で陥落してしまう。心機一転で臨んだ23年、やはりA級では力が違うとばかりに即9連勝。3場所連続Vで、2度目のS級特昇を決めた。

 久田の武器は鋭い踏み出しを生かしたカマシ先行。トップスピードも上々だ。慣れも加わって、徐々に競走得点を上げると、今年2月の伊東でS級初優勝。5月平「日本選手権」でビッグ初出場も経験した。が、7、3、6着で悔しい「3走お帰り」。積極的な走りでアピールするはずが、1度もバックを取れずに終わった。「ダービーで意識が変わった。このままだったら、いるだけの人になる。もっと頑張りたい気持ちが湧いてきた」。伊東の優勝後、さらに結果がほしくてレースが小さくなっていたとも。「ちゃんとした先行が減って、まくりに回ってしまいバックも減った。先行できなくても、魅せるとこは魅せないと」。原点に立ち返って、自分を奮い立たせている。

 その中で迎えた高知「全プロ記念」。S級の精鋭がそろう中で6、5着。それでも最終日は最終ホームからしっかり駆けてバックを奪った。「初日も行くべきところでしっかり行けたが、菊池(岳仁)君に合わされた。調子がよければ行ききっていたが。2日間、自力は出せたので」と、表情は明るかった。

 そして6月3日からの玉野「桃太郎杯争奪戦」。初日予選は地元の隅田洋介を連れてカマシ先行の3着。準決勝もカマして主導権は取ったが、特選組の伊藤旭―井上昌己にまくられ7着に沈んだ。「今は練習でも長い距離を乗って、ベースを作る時期。経験しないと分からないこともいっぱいありますから」。本来の積極性を保ちつつ、末の粘りを強化できれば、いずれ四国の大砲として飛躍する日が来る。敗戦を糧に、未来の自分をデザインしていく。

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