やっと競輪選手になった
武雄では昨年8月和歌山以来となるGⅢファイナルに勝ち進んだ。決勝は東日本4車の3番手回り。2角から自力に転じた深谷知広の豪快なまくりに続いて2着だった。
「2センターぐらいまでは(優勝も)あるかな、と思ったけど、4コーナーから足の違いがあった。4コーナーで深谷君がいなくなった感じでした。でも、すごく手応えのあるシリーズでした」
シリーズは一次予選、準決で2勝を挙げる活躍だった。もちろん体の状態も良かった。そこに加えて、いわき平ダービー最終日からの乗り方とセッティングがばっちりとはまった。
「ダービーでレース後に古性(優作)、清水(裕友)と話をしていたら、『阿部さんって体が硬いですよね』ってなって、ストレッチして見せたら『柔らかいじゃないですか、このフォームでやった方がいいですよ』と2人が空き日だった5日目にセッティングを出してくれた。最終日はいきなりだったので慣れていない感じがあったけど、家に帰ってから練習用もそのセッティングにしてやったら、武雄はすごく感触が良かった」
これまでの力任せに踏むという乗り方ではなく、うまく自転車に乗って力を伝える。「武雄でいろいろとつかめた。新鮮な感じで、自転車にまたがるのが楽しくなった。やっと競輪選手っぽくなったね、と言われます」と阿部は笑う。武雄記念準決ではアドバイスをくれた清水のまくりをブロックして先着した。
「申し訳ないけど、そこはレースなので。教えてくれるのはありがたいし、教えたことを後悔させられるように今後のレースも頑張りたい」
6月にはGI高松宮記念杯が控えている。今の乗り方をもっと体にしみ込ませてGIの舞台でも存在感を見せたい。