後進の育成が励みに
高木隆弘が昨年11月佐世保の落車、長期欠場から復帰した。「長かったね。折れたのはろっ骨1本だけど、背中側の太い部分だったから、なかなかくっ付かなかった」。復帰までに4か月近い時間がかかり、復帰戦の3月武雄では競走得点が0点になっていた。
復帰戦の成績は7、5、7着だった。予選は相笠翔太の3番手だったが、打鐘過ぎからの仕掛けに続けず。最終日も突っ張って逃げた矢野昌彦の3番手で大きく口が空いてしまった。「もう少し時間がかかるかな。今は感覚をつかむというか、走って戻すしかない」。覚悟はしていたが、レース勘に脚力と厳しい現状を突きつけられた形だ。
2月全日本選抜では北井佑季がGⅠで初の決勝進出を決めた。復帰前の師匠にエールを送った弟子の力走に「あいつをバイクで引っ張ってたから、なかなか骨がくっ付かなかったのかな。でも、うれしいね。頑張ってくれてるから。負けないようにじゃないけど、励みになる」。この時ばかりは高木も顔がほころんだ。
「今は高木佑真も見ているし、弟子や面倒を見ている子が活躍してくれるのが、楽しみのひとつ。平塚競輪場とマイナビのコラボで選手を目指す子を募集して、集まったアマチュアの子も今年から見ている。若い子を育てていきながら、自分も少しでも長く現役を続けていけたら」
有坂直樹は21年9月、三宅伸は22年10月に引退し、64期三羽ガラスは高木1人になってしまった。けがもあって苦戦が続くが、弟子たちの活躍を励みに高木は復調の歩みを続ける。