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直送!競輪場便りFrom岸和田競輪場 渡邉泰夫(大阪・62期)A級3班 55歳
インタビュー 2024.03.13

直送!競輪場便りFrom岸和田競輪場 渡邉泰夫(大阪・62期)A級3班 55歳

#競輪場便り

Never Give Up!

 決して諦めない。2023年11月の岸和田ミッドナイトのチャレンジ戦で復帰戦に挑んだ。前検日には、練習仲間で長年ともに苦楽を共にした一期下で開催指導員を務める伊藤文秋が、復帰を祝って目を潤ませながら見守る姿があった。1年9カ月ぶりの実戦となった。

 初日予選、準決とも大本線の近畿ラインの3番手の戦いとなった。初日はしぶとく食い下がって3着。準決は必死の追走もかなわず別線の選手に抜かれての4着。決勝進出はかなわなかったが、「思ったよりも走れた」と少しの手応えをつかんで、3日間を完走した。

 1988年9月にデビュー。90年にS級昇級を決めると、98年から2011年までS級の座をキープした。「一度、高いレベルの風景を見てしまうと、そこから落ちたくないっていう気持ちで頑張って来れたね」と大阪支部を代表するしぶといマーカーとして活躍してきた。ただ数年前からレーサーとして持病ともいえる股関節の痛みが悪化して思うようなレースができなくなった。22年2月の久留米での落車が大きな痛手となった。懸命のリハビリを続けたが、私生活での歩行もままならない状態で「引退」の文字も頭によぎった。「体力の衰えとかではなくて落車して引退というのが負けだと思った。だから左の股関節の人工関節を入れる手術に踏み切った。とりあえずまだ違和感はあったけど、痛みは消えてくれた」と復帰にはつなげた。

 復帰を決めたのにはもうひとつの理由もあった。「同じ痛みに苦しんでいる選手が何人もいる。そんな選手たちの力になりたかった。自分が苦労してきたことを伝えて予防や励みにつながればいいと思った」と胸中を打ち明ける。

 復帰戦以降も苦闘は続くが、23年12月のいわき平では、同支部の舟元権造の奮起先行に続いて、久々(21年10月平塚以来)の勝利も挙げた。「体調も自転車のセッティングも日替わりだし、納得できる走りはできてないし、勝ったうれしさはそこまでなかった。ただ開催中にいままで話したことのなかった選手から股関節の痛みについての相談を聞く機会があったりしたのはうれしかった。このままの成績だったら今年いっぱいだけど、走れるようにやるだけ」と闘将の奮闘は続く。

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