2年ぶりの大舞台
2021年の全日本選抜以来のGⅠ決勝に奮い立った和田。予選からの決め脚は抜群で古性優作と共に3連勝で決勝に勝ち上がった。
今開催の1次予選は渡邉雄太と連係。その渡邉が打鐘からの先行策。まくって来た取鳥雄吾を1回、2回、3回とけん制。最終4角から渡邉をかばいながら1着でゴール線を通過。2番手の仕事をキッチリこなしての勝利だった。2次予選は中野慎詞、寺崎浩平、菊池岳仁といった次代のスター候補生が揃った大激戦。菊池を目標にしたが、先手は中野に奪われ、寺崎のまくりに菊池は苦戦した。それでも2センターからインに入り、最後は中を鋭く突き抜けた。「1次予選、2次予選も雄太や菊池君が動いてくれたからの結果。それが前提で1着を取れた」と謙遜した。
準決はグランプリ出場に正念場を迎えている郡司浩平と連係した。ここでも郡司の伸びがひと息とみるや、4角から内に入り、2次予選と同じようなコース取りで3連勝を飾った。見るからに抜群の動きなのだが本人はあくまでも冷静。「郡司君が仕掛けてくれたから」と前を走った郡司を讃えた。和田は決して大きなことは言わない。追い込みとしての置かれた位置を理解しているからこそ、先行型に対する敬意を忘れない。
初のGⅠ優勝がかかった決勝は単騎での戦い。道中は古性、南修二の大阪勢後位からレースを運んだ。先行したのは小松崎大地、佐藤慎太郎、渡部幸訓の東北勢。若手の犬伏湧也が7番手から猛烈なスパートを見せるが出切るまでには至らず。4番手の古性が最終バックからまくる。古性が捲りきれば和田にもチャンスはあった。ところが南が一瞬、古性から離れた。佐藤と南が絡み、和田は落車してしまった。「まさか、口が開くとは思ってもみなかった」。たらればは勝負事に禁句だが、口が開かなければと悔やまれた。落車した和田だが諦めることなく再乗し、最後は自転車を手にしてふらつきながらゴールした。
棄権してもおかしくない状況だったが「本能でしょうね。その時は記憶にないんですが、競輪選手として最後までゴールすることが体に染みついていたんでしょう」。
「3連勝で勝ち上がったけど、手応えとか調子がいいとかはなかった。不思議ですね」。
ただ2場所前の京王閣FⅠから投入した新車が合っていたのかもしれない。
2年ぶりの大舞台は9着に終わったが「FⅠで勝てないようではGⅠなんて大それたことは言えない。日々努力を怠らず頑張るだけです」と最後まで謙虚だった。