フレームを替えてタテ足好調
藤野貴章の差し足がさえ渡っている。10月松阪では21年12月奈良以来、およそ1年10カ月ぶりの決勝に進出。
予選で野見泰要の逃げを2コーナー5番手からまくると、「1着が全然取れていなかったし、会心のまくりだったので」。約4カ月ぶりにつかんだ勝ち上がり戦の勝利にゴール後はガッツポーズも飛び出した。
2日目から補充出走した続く佐世保では2日目に野見の番手を競り勝って、単騎だった最終日は逃げる丸林駿太の2番手外併走から鋭く伸びて連勝。やはりゴール後には拳を突き上げていた。
好調の要因はフレームにある。そのフレームを使うきっかけも思わぬ形で訪れた。
「9月に佐世保を補充で走った時からですね。補充を受けたけど、もう次の場所に自転車を送っていて、乗る自転車がなかった。同期の伊藤貴史さんにもらったフレームがあって、いつか乗りたいけど勇気がいるなと思っていた。思い切って佐世保で乗ってみたら、いい感じで進んだ。終わってからしっかりセッティングを出したら、さらに出るようになった」
引退するまで自力を貫いた伊藤のフレームはタテ仕様。追い込みの藤野とは正反対の作りと言ってもいいが、これが意外と合っていた。「ヨコの動きはぎこちない感じがする」と藤野は話すが、そこは長年培った技術でカバーできる。「自分の状態もいいし、今は自転車が進むって感覚が頭にあるから焦らずいい感じに踏めている」。それ以上の手応えを感じている。
もう5年以上チャレンジ暮らしが続いている。さらに前期までは5期連続で競走得点が70点を切ってしまった。「まずは今期70点を取ってリセットする。そして来期は2班の点数を取りたい」。2017年前期から遠ざかっている2班復帰へ、タテ勝負に特化した藤野が攻勢をかける。