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直送!競輪場便りfrom和歌山競輪場 高橋美沙紀(愛知・124期)
インタビュー 2023.10.18

直送!競輪場便りfrom和歌山競輪場 高橋美沙紀(愛知・124期)

#競輪場便り

オールドルーキーと言う勿(なか)れ

 

 「物事を始めるのに遅すぎることはない」。誰が言い始めたかは諸説あるが、よく聞く格言だ。ガールズ124期生23人のうち、30代でデビューしたのは2人。そのうち1人が高橋。10月9日からの和歌山F2は、松戸GⅠ「オールガールズクラシック」直後だったが、児玉碧衣、日野未来ら強力メンバーが参戦。その中にルーキーで唯一、名を連ねた。

 ご存じのファンも多いかと思うが、1983年小倉「競輪祭」準V、1985年一宮「オールスター競輪」決勝3着と、長く上位で活躍した美行さん(33期・引退)を父に持つ。陸上競技やサッカーなど、スポーツ経験は豊富だったが、自転車には縁がなかった。高校卒業時には「父からガールズケイリンが始まることを聞いて、勧められたが興味がなかった」とのこと。スポーツジムでトレーナーの職を得たが、次のステップを考えた時に「1回だけチャレンジしようと」日本競輪選手養成所を適性で受験。見事合格し、プロレーサーの道を切り開く。養成所の在所成績は9位だったが、第2回記録会ではあと一歩でゴールデンキャップという好記録をマーク。7月、本格デビュー2場所目の名古屋で決勝進出を果たし、順調に成長を遂げている。

 高橋の身上は「力を出し切る競走」。和歌山初日6Rは前受けからそのまま先行態勢に入り、最終ホームで一気に加速。バックで次々にまくられ、6車立ての5着でゴール。「もう少し残らないと。そこが課題。まだレースに慣れていなくて、焦ってしまう。無駄に脚を使っている感じですね」と反省も口にしたが、腹をくくって風を切る度胸は見せた。「ダッシュを強化して、駆ける練習をやっている。ウエートも始めました」と、手応えもつかんでいた。

 2日目6Rはまたも6車立てで、女王・児玉との初対戦。児玉が5番手に構え、高橋はその後ろ。折からの強風で児玉の仕掛けは最終2コーナー過ぎ。さすがにガールズトップクラスの踏み出しには離れたが、諦めず外、外を踏んで3着に入り、2場所連続3度目の決勝進出を決めた。「児玉さんに食らい付いていこうと思ったが、座ったままでは付いていけなくて。児玉さんが仕掛けるまでは自分も脚を使っていなかったし、何とか」と、前日とは違う冷静な立ち回り。それでも、力は出し切った満足感は変わらなかった。

 最終日の7R決勝は児玉、日野の激突で出番がなかったが、着実に上位と戦える力も付いている。「のちのちには自力で戦える選手に」と、目指すものは明確だ。近いうちにデビュー初勝利もクリアするだろう。非凡な身体能力を生かし、ガールズに新風を巻き起こす。

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