2021年に大ケガをし、一時期は選手生命も危うい状況にあった石井貴子選手、そこから長らくビッグ戦線から遠ざかり、2023年にガールズのGIがはじまりましたが、そこには石井選手の名は一度もありませんでした。

しかし、自分に今できることを一つずつ、一つずつこなし、GI出場権をついに獲得しました。初日は先行の奥井迪選手の後ろという絶好の位置を取って1着。準決勝は4着でギリギリの勝ち上がりになりましたが、決勝戦は再び奥井選手の後ろという好位置が巡ってきました。最後の大接戦を制し、GIの栄冠を手にしました。

今までを振り返り、込み上げてくる感情を噛みしめながら話す石井選手。GI優勝したからといって急に自分を変えることなく、これからも今までのスタンスを変えずに、できることを一つずつ成し遂げていきたいと語ってくれました。

あの時、辞めなくて本当によかったと思っています

－優勝の素直な気持ちをお聞かせください。
「本当に信じられなくて、夢じゃなく現実なのかなって、ほっぺたを何回もつねったりしています(笑)。『まだ夢で、起きたら最終日の朝だったらどうしよう』って、そんな心境です(笑)」

－では、レースを振り返って、初手は7番手になりましたがどうでしたか？
「なんとかギリギリ勝ち上がれて、7番車ということだったので、7番手スタートなんだろうなと想定して作戦を何パターンか考えてました。ただ、奥井（迪）選手が6番手の組み立てをするとは予想していなかったので、非常に恵まれた位置になりました」

－（奥井選手の前で）當銘直美選手と柳原真緒選手の並走でいたのは気になりましたか？
「並走があると隊列的には短くなるので、そこからの組み立てで奥井選手が仕掛けていくのであれば、比較的に早くレースが動いていくだろうから、隊列が短いのはありがたいんだろうなと思っていました。7番手は予想していたけど、並びは予想外でした。でも、そうなった時点で自分のやれることに集中していこうと走ってました」

－ゴール前は激しい接戦になりましたね。
「もう必死で何もわからなかったですし、なんとなく差せたような気もしないでもないけど、大丈夫かなって、ずっとオーロラビジョンを見ていました」

－優勝の確信した時の気持ちは？
「ビジョンで出て、ようやっとホーム側のお客様たちが声をかけてくださって、今までゴールしてすぐに泣くことはなかったんですけど、わって溢れてきました」

－お客様も石井選手の優勝を待っていた方は多いと思います。
「こんなに時間がかかっても、まだ楽しみに待ってくださる方がいるんだというところに感謝しています」

－大ケガの後に引退も覚悟した中で、復活という形でどうですか？
「あの当時は、まさかまた大きなレースで勝つことができると思ってませんでしたし、辞めなくて本当によかったと思っています…」

－やはり込み上げてくるものはありましたか？
「そうですね、最後に名古屋で大きいレースを勝った時（2020年ガールズドリームレース）から、また次があるなんて思ってなかったので、驚いています」

－ここからも長い戦いになりますが、モチベーションはいかがですか？
「基本的なスタンスは変えずにいきたいと思います。普段と同じ、例えば無観客のミッドナイトのガールズ予選1とGIの決勝と気持ちも価値も変わらないという気持ちでスタートして取り組んでいたので、このあとも一緒かなと思います」

－次の目標は？
「地元の松戸競輪場でサマーナイトフェスティバルがあるので、選手宣誓をやってねと言われていますし、まずは選手宣誓から頑張りたいと思います」

－地元のファンの皆さんも、目の前で石井選手が活躍するのを待っていることでしょう。
「そうですね、でも、練習していると、あのバンクの怖さというか難しさもよくわかっているので、ちょっと緊張しますけど、精いっぱい頑張りたいと思います」

－ファンの皆さんにメッセージをどうぞ。

「状況がよくない時もずっと応援してくれてありがとうございます！　また一つずつ頑張っていくので、応援してください!!」

石井貴子（いしい・たかこ）
千葉・106期・L級1班　1990年2月17日生まれ。　身長163.1㎝　体重60.0kg

Q　ガールズグランプリの出場権については？
「初GIだったので、ガールズグランプリに出場したことは何度かあるんですけども、6月にグランプリについて聞かれる経験が今までないので、改めてびっくりしています」