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内林久徳の「車券推理の極意」 オールスター競輪「決勝」2022西武園
解説&分析 2022.08.18

内林久徳の「車券推理の極意」 オールスター競輪「決勝」2022西武園

#レース予想の極意

14年振りに西武園でG1が開催される。前回は12月開催の全日本選抜。石丸寛之が捲り三宅伸が交わした決勝戦。オールスターでの開催は18年前。私もまだ現役で控え室から決勝戦を見たのを記憶しています。神山雄一郎が中団をキープし、抜け出したレースです。その神山は今回も参加。54歳の年齢から考えると脅威ですが、流石にトップクラスの競走は厳しい状況です。時の流れを感じます。

オールスターは勿論ファン投票により選出されるシリーズ。今年のファン投票一位は地元の平原康多。地元のG1で優勝するためにここまでやって来たと思います。しかし、初日から波に乗れず、終始苦しんだシリーズになりました。自分自身へのプレッシャーか、それとも峠を過ぎたかです。

ドリームレースからシリーズを制圧した脇本雄太。そのドリームでは深谷知広とのもがき合いを誰もが期待しましたが、深谷が反応しませんでした。少し肩透かしの様なレースになりましたが、これが脇本を一気に勢い付けました。深谷が共倒れ覚悟で先行勝負していたらシリーズの流れも変わったと思います。それは深谷自身に一番言える事です。

そして脇本はシャイニングスターレースでもレースを制圧し、更に脇本の勢いは増しました。

迎えた準決勝。

9Rは混戦模様で誰が3着まで入ってもおかしく無い組み合わせでした。深谷の力。太田竜馬と出来。菊池岳仁の本格化。それぞれに持ち味が発揮出来そうで、難しいレースでした。予想通り菊池が先行。太田が 早目に仕掛けるが不発。間髪入れずに太田番手の松浦が仕掛ける。しかし、菊池番手の吉澤に合わされ苦戦。中団をキープした守澤が一気に追い込んだ見応えのあるレースでした。

10Rは脇本が抜き出た存在。新山響平が先行しやすい構成でしたが4番手を確保していた清水裕友が一気に叩きました。レースは混乱したが脇本にとっては隊列が短くなり捲りやすかったレースです。

11Rは寺崎浩平、古性優作の近畿ラインの3番手を巡ってのレース。新田が前受けから脚を遣って3番手 キープしました。しかし脚を使った事で伸びを欠き内外交わされました。古性がしっかり1着。逃げた寺崎は4コーナーからタレ、4着ではありましたが、繰り上がり決勝進出を果たしました。

決勝メンバーは2分戦。単騎2名の構成。北日本は新山、小松崎、守澤、成田の並び。対して近畿ラインは寺崎、脇本、古性。松浦、吉澤が単騎となりました。脇本がライン先頭なら何の問題も無いレースだったと思いますが、同県の寺崎がいるため番手選択。以前に一度この並びがありましたが、その時は脇本が粘られあっさり下げ捲ったレースです。そこで色んな意見を聞いたとは思います。私もそれなら付かない方が良いと思ったレースです。2分戦は粘りやすいレースです。このレースの鍵はスタートです。スタートを取ったラインがかなり有利になります。近畿ラインがスタートを取ったら、寺崎赤板先行で脇本、古性に松浦辺りで決まりです。北日本がスタート取ったら、新山先行で小松崎の番手捲り。その番手の守澤の優勝。ラスト2周のラインが勝負の分かれ目でもあります。それでも脇本が捲ると思われる方も多いでしょう。しかしそのラスト2周のラインを目指し仕掛けた寺崎に脇本が付いて行っているため、寺崎が合わされたら浮いた状態です。下げてから巻き返すにはタイミングが遅くなります。浮いた状況から仕掛けて出きったとしても後1 周半以上あります。しかも既に脚を使っている状況です。スタートとラスト2周が勝負の別れ目である事は間違いないレースです。

展開予想

スタート勝負は1番車の古性が取りに行くでしょう。しかし、古性のスタートはイメージが湧かない。3番車の守澤も取りに行くと思いますが信頼度が低い。それで寺崎、新山も取りに行くでしょう。近畿が取れば、脇本優勝。北日本が取れば守澤優勝。仮に近畿に出られても新山はイン粘りが有ります。その時も守澤。ただ小松崎が後一周から番手捲りになるので持たないなら、松浦の出番もある。あくまでスタート取った選手がラスト2周でミスがない事が条件ではあります。

車券的推理予想

9-1-235 3-7-425 3=2-751 3=9-1275

結果

9-2-3 47.2倍(11番人気)

レース経過

スタートは古性がしっかり獲り近畿ラインが前受け。そして松浦、吉澤が続き、北日本ラインの形成。赤板前に新山が上昇しホームラインでの踏み出し勝負。やはり内の寺崎が新山を出さなかった。しかしここで松浦が内から寺崎の番手を奪い、その混乱の中3番手に小松崎がおさまり新山を迎え入れた。この事で脇本が7番手に置かれた。寺崎は番手捲りのつもりで仕掛けているため、番手を奪った松浦も捲らなければ着はない。松浦が番手捲りを放ち、その番手が新山となり4コーナーを迎える。7番手に置かれ脇本は2コーナー出口で仕掛けた。そこから2センターまでは誰が優勝するか分からなかったが、2センターで脇本は届くと思った。苦しい展開になったが、脇本優勝。2着には番手を奪い、番手捲りを放った松浦。3着には守澤の決着。

今シリーズは脇本の完全優勝で幕を閉じました。初日に勢い付き、一気に駆け抜けたシリーズでした。決勝は寺崎との連結を外したのは仕方ないが、これからも更にこの事は起きます。と言うより狙われる可能性が高くなりました。戦法が戦法なので仕方ないですが、一度共倒れでいいので 頑張れば狙われなくなりますが、それはないのでこれからも再現される。

それでも脇本はしばらく勝ち続けて行く。脇本強し。

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