第69回オールスター競輪(GⅠ)|2026年8月11日~16日
今年のオールスター競輪は松山競輪場で開催された。松山は典型的な400mバンクで、公式には戦法上の有利不利はないとされる高速バンクである。ただ、今シリーズに限っていえば、早めに先手を取った選手の好走が目立った。私の見立てでは、ホームカマシの展開になれば前団で決まりやすく、まくりは相応の条件がそろうか、力の差がなければ届きにくい。早めに駆けた選手が結果を残し、番手がしっかりしていれば、勝ち上がりでは突っ張り先行も有効だった。
シリーズの流れ
初日は、早めに先手を取った選手が結果を残した。期待された山崎歩夢は、直前の小田原GⅢで、従来の強気な先行一辺倒ではなく、柔軟な組み立ても見せて勝ち上がった。それは戦いの幅が広がったようにも映った一方、持ち味である強気な先行が薄れた印象も残った。そうした迷いが、そのまま松山での結果に影響したのではないか。山崎には合いそうなバンクだっただけに、残念な結果だった。
2日目のドリームレース。ファン投票1位は眞杉匠だった。新しい風というより、ファンが求めたのは現在のスピード競輪だけではなく、「闘う競輪」だったようにも感じた。昨年の古性優作の存在感に加え、眞杉が2023年の朝日新聞社杯競輪祭以降、GⅠ優勝から遠ざかっていたことも背景にあったのだろう。
レースは、脇本雄太がまくりに構えるとみられ、当初は実質的に深谷知広の先行一車という構成だった。ただ、新山響平も単騎で先行する構えを見せ、最終的には3番手に入り、そこからまくった。その前には嘉永泰斗がいつものようにホームからまくり、眞杉に阻まれた。それぞれが自身のレースをした印象である。番手の郡司浩平がブロックした際に新山と接触し、落車。これが眞杉、吉田拓矢を巻き込む大量落車につながり、郡司は失格となった。この落車がシリーズにどう影響するかが焦点になった。内容自体はドリームレースにふさわしかったが、結果は落車と失格が重なる不運なものだった。
ドリームレースの上位6人はシャイニングスター賞に進み、同賞の出場者は準決勝進出が決まる。だからこそ大量落車がシリーズ全体に影響を及ぼし、レースの熱を削ぐ面があるのも事実だ。
4日目のシャイニングスター賞は、事実上、太田海也の先行一車に近い構成。脇本にもラインはできていたが、まくり不発に終わった。その中で、単騎の犬伏湧也が存在感を示した。結果は太田が逃げ切り、松浦悠士が2着、古性が3着。清水裕友の動きも太田を利する形になったように見えた。
そして5日目の準決勝。9Rは、新山にも先行意欲があったと思うが、犬伏を出させて中団を選択した。しかし、後方に置かれた坂井洋の仕掛けで内に詰まる形になった。積極性を欠いたことが新山の敗因だったように映る。このバンクで打鐘から駆けた犬伏は3着に残り、決勝へ進んだ。
10Rは石原颯の打鐘先行。4番手に森田優弥、6番手に古性で最終ホームを通過した。森田が仕掛けたものの不発。古性も仕掛ける雰囲気だったが、森田の動きを見て内へ入った。3番手の岩津裕介が内を締め切っていれば、古性は4着までだっただろう。結果は石原の逃げ切りだった。
11Rは杉浦侑吾が果敢に先行。眞杉が太田をさばいて番手に入り、そこから出て決着した。太田のスピードは良かったが、他選手への対応策を示せなかった。杉浦の強引に出る競走は予想できた。しかも番手は眞杉である。関東勢を出させないか、後ろを取る組み立てが必要だった。
決勝メンバー
決勝は、四国勢が石原颯―犬伏湧也―松本貴治―佐々木豪の4車で結束。関東は眞杉匠―吉田拓矢に守澤太志が続き、古性優作と清水裕友がそれぞれ単騎となった。従来型の先行という意味では、石原の先行一車に近い決勝戦である。単純に見れば、四国勢の番手を回る犬伏が優勝に最も近い。しかし、その位置は近くて遠いものになる可能性も高い。
展開予想
スタートは1番車の石原が出て、四国勢が前受け。枠なりに眞杉ライン、古性、清水で周回するとみる。石原は競りを避けるため、突っ張り先行。そこへ眞杉が外から競りかける。追い上げではなく、赤板前からだ。追い上げでは、石原の突っ張りとタイミングが合わなくなるためである。古性はそれを見て追い上げを選択するか、隊列の乱れを突くか。清水は四国勢を攻めにくいため、古性の後ろと考える。
番手勝負に出るのは眞杉とみる。関東勢が取り切れば眞杉が優位。ただ、その後ろを松本が確保する可能性もある。その場合は犬伏を迎え入れ、犬伏のまくりもある。先行一車に近い構成だけに、番手がもつれれば、石原の残りもあるだろう。
車券的推理予想
2=5-134 2-43-4375 9-14253-14253 1-94253-94253
結果
3連単 9-5-8 13,140円
犬伏湧也―吉田拓矢―守澤太志(131.4倍・44番人気)
レース経過
前受けは四国ライン。そこに古性、関東ライン、単騎の清水が続いて周回した。赤板前に眞杉と古性が上昇。眞杉は前まで進み、古性は石原の番手を狙う雰囲気だった。ところが、石原が簡単に下げた。ここで、誰が優勝してもおかしくない展開になったと感じた。
石原が下げたことで、犬伏の番手は危うくなった。それを察したのか、石原は巻き返しのタイミングを遅らせた。この動きで眞杉は成り行き先行。古性は石原の番手狙いから前へ切り替えた。眞杉の先行を石原がまくり、眞杉の番手から吉田もまくる。その外をさらに犬伏がまくり切り、優勝した。
このレースは、すべて石原の動きを中心に展開した。そこには、石原の経験の浅さが出たように見える。眞杉にしても古性にしても、予想していなかった展開だっただろう。
決勝を終えて
石原は、自身の理想とする競走を貫こうとする色が強い。誰かと向き合うより、自分自身と向き合うスタイルに映る。一方、犬伏は周囲を見ながら競輪を組み立てた。その差が決勝点で表れた。
今回の石原は、個人の優勝よりもラインを重く見ていたように映った。ただ、その意図を最終局面まで生かし切れず、今回の組み立てには課題が残った。対して、GⅠ初制覇を果たした犬伏湧也。日本選手権で勝ち上がれなかった苦い経験が、犬伏を成長させたといえる。それぞれが今後どのように成長していくのか。楽しみにしたい。