ガールズケイリンはここ一年で佐藤水菜が完全に抜けた存在となりました。児玉碧衣との女王争いに始まり、ナショナルチームとしての活躍も加えて自信を深めて行き現在に至って来たと感じます。

そして今年はオールガールズクラシック、パールカップ、女子オールスターとここまでのGⅠ全て優勝し競輪祭参戦です。競輪祭女子王座戦を勝てば年間グランドスラム達成の快挙です。そこに対抗するのはやはり児玉碧衣です。勝負は決着したかにも見えますが、児玉の戦術に磨きがかかれば、まだまだ分かりません。ただ男子と違い女子はレーススタイルが競技に近いので、競輪から離れていても対応しやすい事がありますが、巧みな位置取りが出来れば結果も変わってくるでしょう。そして昨年までナショナルチームに在籍していた梅川風子です。先行力で言えば、佐藤に続くのは梅川でしょう。梅川が結果を左右する存在なのかも知れないです。

そして迎えた初日、早めに仕掛けた児玉が後続を引き離しました。しかし引き離したが故の苦しい展開に落ち入り3着に沈みました。目標となり追い付いた勢いもあった結果です。

梅川は力強い先行で1着。凄みも感じた先行でした。そして佐藤はホームで叩き先行。安定と安心。そんな先行でした。

そして2日目準決勝11R。メンバー的には少し片寄ったと感じるぐらい実力者が多いメンバー構成となりました。梅川と仲澤春香の主導権争いはあるのか。そしてそれぞれの番手は誰なのか。それを捲れるか児玉の構成です。

レース３車での先行争いを制した梅川。仲澤の出鼻をくじき、逃げ切りに繋げた。そしてその番手に飛び付いた那須萌美。遅れても不思議でない形だったが、良く飛び付いた。レースはそのまま流れ梅川、那須でゴール。挟まれた仲澤は苦しくなったが、何とか凌ぎ3着の結果。

12Rは佐藤の先行を巡っての位置取争いの様相。終始大浦彩瑛がマークし、そのまま決着。梅川は重戦車的な印象。対して佐藤は軽快な先行といった印象を受けた準決勝でした。

決勝メンバーは佐藤がやはり軸であり一歩抜けた存在。ただまくりに構えるとリスクはやはりある。それは梅川と仲澤が積極的に動き、どちらかが番手にハマる事もあり得るからです。決勝でも佐藤は先行で勝負するのでしょうか。

レース展開

前受けは尾崎睦。外枠故の選択と読む。仲澤と梅川の位置関係は、仲澤が前にいる。佐藤はその後ろ辺りになる。後ろとは仲澤と梅川の間の意味。もしくは後ろになる。両者の前だけはない。前にいるとその両者が仕掛け合えば、下げて立て直すのに時間が掛りタイミングを逸しやすくなるからだ。そして大浦や那須はどの位置を選択するかである。佐藤の後ろでは2着はあるが、優勝はない。グランプリを目指すなら梅川か仲澤の後ろが理想になる。その事を考えると坂口や尾崎なら確実に着を取りグランプリ出場に繋げるのではないか。そして梅川と仲澤を比べるとやはり梅川が総合力で上であり、先行も梅川と感じる。

車券的推理予想
1=2-347 1-3-247 2=3-147

結果
1-2-4 21倍（7番人気）

レース経過

スタートは外枠の坂口楓華が出る。そして那須が追走し仲澤。そして梅川。その後ろに佐藤で大浦が追走する。尾崎は梅川の後ろに入りたいが佐藤が入れず。結局尾崎が梅川の前に入り入れ替え。それを嫌うかの様に佐藤が尾崎の外に追い上げる形をとった。前団にいた仲澤が後方を警戒し仕掛ける。佐藤がこれに反応し梅川の外に上昇、そして仲澤を目標として一気に出切る。番手大浦は3車並走を乗り越えられず離れる。佐藤の番手には仲澤がハマりこれで決着したかの様に思えた。しかし番手にハマった仲澤がまさかの内差しから抜きに行き落車。その隙に立ち遅れた梅川、那須が内から抜け出した。佐藤の年間グランドスラムが達成された。

このレースでまず、勝った佐藤が尾崎を入れなかった事、そして追い上げた様な位置取りに疑問を感じる。そして大浦の位置取りである。準決勝で佐藤の先行にすんなり追走で抜け無かった事から考えて、その位置の選択である。大浦は2着ではグランプリに出られない。ならば佐藤を後ろに置いて組み立てを考えるべきである。ステップとしてまだ先と考えたのかも知れないが、その先にこの機会が巡って来る事もあるが、無いかも知れない。それは今回のレースから見ても分かる様に、まだまだ女子の組み立てと、男子の組み立ての奥深さに格段の違いがある。ガールズはまだ創世期と感じた一戦だった。