今年もこの季節がやって来ました。競輪祭GIタイトルと、そしてグランプリシートをかけての一戦です。タイトルは純粋にタイトルですが、競輪祭に限りグランプリシート争いにスポットが当たっている感があります。タイトルが副産物になっている様な感じのシリーズでもあります。そのグランプリシート争いは競輪祭前最後の記念で優勝し、新山響平がランキングを7位に上昇しました。競輪祭の賞金を考慮すると、この7位までがグランプリほぼ確定です。ランキング下位の優勝、ランキング10位までが2、3着に入った場合のみ新山が10位に沈む可能性がありますが、それは低い可能性です。新山はグランプリ出場ほぼ当確と言えます。8位に脇本雄太、9位に岩本俊介、10位に深谷知広。この3人が賞金での出場の可能性があるだけです。
そして始まった競輪祭。8位の脇本は初日いつものように下げてタイミングをはかって仕掛けようとするが、そのまま凡走の9着。暗雲が立ち込めました。対照的に9位の岩本は打鐘2センター中団から一気に前段を叩き逃げ切り。ここには脇本も同乗し、その脇本を叩き潰した形です。岩本はここ最近怪我の影響で調子が良くなく周囲も厳しいと思っていた人がほとんどでした。しかし鮮やかな一撃で状況を一転させました。そして10位の深谷は力的にはグランプリに出場して当然の選手です。競輪祭でもその力を発揮していました。それに加えてランキング下位の松浦悠士が、ここまでの不調を吹き飛ばすかの様なキレが戻って来ていました。グランプリシート争いは想像以上に激しい争いになりました。
そして迎えた準決勝。10R新山に挑む窓場千加頼、佐々木悠葵。窓場が前受けから佐々木を突っ張り気味に新山の上昇を待ちました。飛び付き狙い。おそらく番手まで考えていたと思いますが、遅れました。新山ライン3番手にいた荒井崇博の所には差し込んではいましたが、遅れつつだったので下げました。窓場にとってはここがグランプリとの別れ目になりました。強引に内に入って行けば3着の可能性はありました。そしてその後ろの脇本が窓場の仕掛けをギリギリまで待ちましたが無理と判断し踏み込み1着。
11Rここは北井佑季対犬伏湧也。現状と今シリーズの走りは犬伏が圧倒しています。その犬伏が一気に仕掛け番手松浦が差し切り4連勝。犬伏にとっては現状から考えると楽なメンバーでもありました。
12R寺崎浩平に古性優作。郡司浩平に深谷、岩本。そして競輪でも結果を残し始めた中野慎詞です。寺崎が突っ張り気味に中野を待ち、古性が寺崎番手の菅田壱道を飛ばす。作戦通りの運び。そして郡司がすかさず仕掛ける。中野の番手に入った寺崎も目視していたが、反応せず。仕方なく古性が止めに行った。スピード差があったので急激に減速した郡司と深谷が落車。寺崎の日頃のようにここでも躊躇した。その事がこの結果を招きました。そして番手から出た寺崎が1着。古性は失格で姿を消しました。
5日目が終了し決勝メンバーが決まり、賞金ランキングで脇本までがグランプリ当確。9位の岩本が結果待ち。他は優勝のみとなりました。
決勝は寺崎、脇本、村上博幸の近畿ライン。犬伏、松浦の四国中国勢に荒井が付けるライン。菅田には松谷秀幸。単騎を選択した浅井康多のメンバーになった。寺崎の勝ち上がり状況と、その番手脇本の二次予選での結果から考えると、流れは近畿勢と感じる。二次予選での脇本は落車が無ければ5着以下であったはずです。それに対抗するのは動きを取り戻した松浦です。
展開予想
前受けは松浦が取り、犬伏ライン。そして浅井。そして菅田ライン。後方に近畿ラインで周回。まず寺崎が動き前段を押さえる。浅井、菅田が切り替え、犬伏7番手。犬伏は脇本が仕掛ける前に寺崎を叩きたいはず。しかし寺崎が打鐘付近からペースをあげそれをさせずか。犬伏が叩けば松浦優勝。犬伏が叩けなければ脇本と村上の一騎打ち。
車券的推理予想
2=6-982 1-73-738 2=1-67389
結果
2-7-1 102.7倍(31番人気)
レース経過
スタートは荒井が取りに行き犬伏ラインが前受け。その後ろに菅田ラインで、浅井。そして後方に近畿ラインで周回。青板過ぎに後方の寺崎が動き出す。犬伏が反応した事で、寺崎が警戒しつつ犬伏を切る。ただこの時に菅田が寺崎ラインに付いて行かず、犬伏が近畿ラインの4番手に納まる。ここは菅田の位置になると思っていたが、菅田が取りに行かなかった。犬伏には最高の位置が巡って来た。打鐘で犬伏が動きかけた様にも見えたが、単純に詰まっただけだったかも知れない。そしてその犬伏が最終ホームで仕掛ける。しかし寺崎の番手脇本が反応し番手捲りを放つ。犬伏はツーテンポぐらい早く行けば脇本も仕掛けるかどうか迷ったかも知れません。そして脇本が仕掛けたのはホーム過ぎ。1コーナーは外が浮くので、犬伏にとっては万事休す。ただこの時に脇本の後ろ村上が離れた。犬伏の番手松浦も離れ、脇本と犬伏が抜け出す。犬伏が脇本の番手にハマった。そこからは脇本と犬伏の一騎打ちとなり、脇本が振り切り優勝。
打鐘から犬伏が好位に納まり動きかけたかの様に見えた時、多くのファンの方は犬伏行くなと叫んだと思います。そして最終2コーナーで脇本の番手に犬伏がハマった時は、犬伏が抜けば優勝と思った方も多かったでしょう。それだけ犬伏の優勝を待ち侘びているファンが沢山いる。私もそう思いました。犬伏が優勝すれば競輪界は大いに盛り上がると誰しもが感じたと思います。4コーナーから犬伏を振り切った脇本。いや、寄せ付け無かった脇本です。早めの番手捲りで、あの犬伏を寄せ付けなかった脇本の完勝のレースでした。脇本強し。