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車券推理の極意 女子オールスター競輪「決勝」
解説&分析 2024.08.21

車券推理の極意 女子オールスター競輪「決勝」

#レース予想の極意

昨年までの女子オールスターは、ドリーム、アルテミスのそれぞれ単発のレースでした。しかし今年はドリームは存在するが、勝ち上がりのトライアル。来年からは女子オールスターが独立してのGIに昇格します。ステップアップの途中の感はあります。今年はここではグランプリの権利は得られない。しかし今年はオリンピックが開催された直後。そのパリオリンピックに出場した、佐藤水菜、太田りゆも久々に競輪に参戦です。

昨年のグランプリ以来の佐藤対児玉の戦いが、順当なら2レースは見られます。過去に於いてその様な事は無く、その事が2本目となる決勝ではどう影響するかも楽しみなシリーズです。ここ平塚では2022グランプリで両者が絡み落車したレースが甦ります。その時は児玉の力を上回る力を付けた佐藤の前評判でしたが、レースではその事はまだ証明されていませんでした。それが故に佐藤が児玉を意識し過ぎたレースでした。

それから2シーズン目。初日ドリームを見る限りでは、今回は児玉が佐藤を意識し過ぎていた様にも見えました。結果は佐藤が捲っての1着。児玉はチグハグなレース運びで4着。そしてなんと2走目も対戦。ここでは児玉が立て直しホーム先行。佐藤が捲って1着でありましたが、児玉は吹っ切れた様にも見えました。捲った佐藤も上がり11.4の好ラップで、競輪でも自信を深めたと思います。女子のレースは国際レースに近い形態です。オリンピックからの移動と時差だけなので、戸惑いは男子よりはるかに少ない事はあります。時差はあっても決勝の時間はそれほど違わないですが、生活自体のリズムの変化は大きいかなと思います。私自身、何度か海外のレースを経験していますが、時差での苦しみはほぼ無かったです。人にもよりますが、飛行機での過ごし方で差は出るのかなと思います。

そして自転車です。オリンピックでは2000万の自転車。ガールズケイリンでは100万に届かない自転車。その差は明らかです。余談ですが自転車の世界記録はこれから先も必ず塗り替えられていきます。特にオリンピックは4年サイクルです。その間機材は大きく進化していきます。今回太田海也が日本記録を出しましたが、同じ条件なら前回の脇本雄太の方が良いタイムだったかも知れません。タイムは機材の進化が大きい。それが現実です。

そして迎える決勝です。児玉と佐藤の争いに、ドリームには選ばれなかった坂口楓華がいます。実力的には佐藤、児玉、に次ぐ存在です。初日予選は先行しての4着。先行不在で戦いにくい一戦を先行でクリアした事は大きいです。坂口の売りは自在に立ち回ってからの自力が真骨頂と思います。そして決勝では先行日野未来がいます。坂口にとっては初日予選より走り易いでしょう。佐藤が揺るぎない本命ですが、児玉が仕掛けて佐藤との間に入れば波乱につながります。そして日野です。ファン投票2位に応えるべき競走をドリームレースでしました。最初の頃は少し違う角度の選手かなと思っていました。しかし良く見ると、レースっぷりは立派です。誰が相手でも自分のレースを貫いている感さえあります。決勝でもドリーム同様に日野らしいレースを見せてくれるでしょう。

展開予想

日野が迷いなく先行。そこを早目に叩く選手はいない。最終ホームで児玉か位置取り失敗した久米が仕掛けるぐらいか。佐藤はここ2日間で自信を深めるが先行はできない。児玉が仮に仕掛ければ日野がハマるか、坂口が児玉を追走している。石井は日野の後ろと考える。そして佐藤が2コーナーから捲り勝負。太田はタイミング重視の選手なので、仕掛け遅れるイメージだが、その事が幸いし佐藤の後ろにいる可能性はある。佐藤の捲りが決まる事が第一です。そして児玉の後ろに坂口がハマるなら坂口にもチャンス。展開がもつれれば児玉の優勝もあるでしょう。

車券的推理予想 1=2-637 1-3-267 2-3-167

レース結果 1-7-3 29.6倍(13番人気)

レース経過

スタートは牽制から始まり、石井が渋々の前受け。そして久米が入るが位置が無い太田に並走され入れる。これは太田の後ろの意味でなく単に邪魔になる事を避けるための動きだったと思う。ただこの位置が太田にとっては最後に効いた。そして児玉で佐藤が続く。その後ろが宣言通り日野が佐藤をマーク。最後方に坂口で周回。打鐘過ぎにその坂口がカマシ気味に行く。そして佐藤が反応し坂口を追う。この時児玉は後ろを通過していたが身体が反応していなかった。児玉はここで優勝争いから脱落したと感じた。それに合わせ太田が踏み込むも、佐藤がホーム線付近で勢いを殺さず一気に先行体制。坂口は太田と佐藤を追う日野のあんこになり下げざるを得なくなった。その3車並走を日野も佐藤が内に切り込んだ事で、乗り越えられず番手を太田に明け渡した。この時点で優勝は佐藤に決まったと思った。太田は番手となったが、連日伸びは無かったからだ。結果はホーム叩き先行の佐藤が優勝を決めた。

オリンピック組は強行出場となった女子オールスター。しかし佐藤はその疲れを出さず連日の好走。そこには児玉との立ち位置を決定付けたい思いもあったかも知れません。ただその決着はグランプリに佐藤が出場しなければ、薄らいで行きます。少ないチャンスをものに出来るかです。そして、女子オールスターは来年からはGIに昇格します。グランプリの出場権も獲得出来るシリーズとなります。

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