2年振りに弥彦での開催。寬仁親王牌は国際競技、全プロの参加や成績での参加も選考基準にあり、若手先行選手が参加しやすいGⅠでもあります。この弥彦バンクは直線が長いのが特徴。そのため先行選手が苦しむことも多いです。前橋の様に若手先行選手がいきなりGⅠ決勝進出は考えにくいバンクでもあります。追い込み型は落ち着いて、ある程度の位置なら勝負圏になります。圧倒的に追い込み選手が有利なバンクと言えます。
今年に入り若手の本格的な台頭が目立つ中、不利な条件をはねのける事が出来る若手機動型は果たして誰なのかです。その中で初日目を引いたのは太田海也です。2周先行逃げ切り。上がりタイムも良く、オールスター以上の成績も期待出来るか、と思わせました。
そして注目の犬伏湧也です。特選レースで中野慎詞、眞杉匠がいる中でしっかり主導権。結果は6着でしたが、後ろが競りで離れると分かっていての先行でした。この事で、誰が相手でも主導権は渡さないと宣戦布告した感じです。どのレースでも簡単に主導権が取れる。他の選手が犬伏の先行を中心に組み立てるからです。
そして理事長杯では現在のトップ自在選手の共演でした。その中でも抜けた存在である古性優作が、いい位置をキープし捲って1着スタート。貫禄勝ちの雰囲気さえありました。
2日目、二次予選B回りになった犬伏。ここでもしっかり逃げ粘る。
そして二次予選Aの太田海也。初日の動きからは楽に勝ち上がると思いましたが、雨の影響かスピードに乗らず、7番手の三谷竜生に捲られ敗退でした。経験値が少ないので仕方ないとも言えたでしょう。
同じく二次予選Aの新山響平。前受けからの突っ張り先行。それが新山の定番になって来ました。別線には前受けからの突っ張りはやりにくい選手になります。3着での勝ち上がり。
ローズカップはここでも古性がいい位置をキープしての1着。外から行きたかったでしょうが、仕方なしの内から。安定の古性でした。
3日目準決勝10Rは新山がいつも通り突っ張り先行。 そこを古性は枠を活かし4番手から捲り追い込み気味に新山を蹴散らしました。
11Rは激戦区。眞杉匠が打鐘前から後方を警戒しつつ先行。郡司浩平が3番手キープしていたが、三谷が追い上げる形で3番手確保。そこを渡邉一成が7番手から捲る。その隙に和田健太郎が内を抜け1着。2着には地元の諸橋愛が眞杉の番手を活かして。3着には渡邉ラインを追った河端朋之の結果でした。
12Rは犬伏がやはり先行。番手松浦悠士で盤石かと思えました。ただ3番手にスピードがある寺崎浩平が入ったので、寺崎にもチャンス到来。そして2コーナーから捲りを放ちました。松浦が普通の状態なら簡単に捌けるスピードでしたが、松浦は動けず。本調子ではなかった。そして小松崎大地の捲りが届いた結果でした。
準決勝を終えやはり直線の長さが、随所に影響を及ぼしていました。その中で、犬伏は先行一本で勝ち上がった事は立派でした。
決勝メンバーは小松崎先頭の福島3車ラインはあるが、犬伏の本格先行一車。小松崎ラインに主導権を取られても番手捲りはない。ただ古性の先捲りだけを注意すれば犬伏が一番優勝に近いと感じます。
展開予想
犬伏が前受け。そして福島ライン。大阪勢が続く。和田は流動的な位置取り。福島を追うか、大阪を追うかである。いずれにしてもイン突き一本勝負。そして単騎の河端で周回。まず古性が犬伏を切る。そこに小松崎が先行体制。和田は古性が入れないかも知れないので、大阪勢の後ろ。そこを一気に犬伏が仕掛ける。河端も3番手追走ならチャンスはある。まずはこの展開だが、古性が中団の小松崎の横で止まった場合は、小松崎が下げ、タイミング的に犬伏ともがき合いになる可能性もある。その場合は古性が捲って優勝。大阪勢のワンツーもある。
車券的推理予想 2-4=639 2=6-439 2=3-479 3-7-921
結果 3-1-5 75.5倍(21番人気)
レース経過
前受けに福島ライン。そして大阪勢。そこに和田が続き、犬伏ラインで、河端の並びで周回。犬伏が後方に位置した事で完全にカマシ狙いになった。後ろから一旦押さえてなら、カマシごろを逃してしまいます。前受けからならタイミングは取りやすいと思いますが、後方から優勝を考えるなら一発狙いになります。中団にいた古性も犬伏が来るなら、飛び付きを狙う体制。小松崎もそれと同じ事を考えていたかも知れないが、犬伏が優勝を狙ってのホームかまし一本の作戦。その流れで小松崎が先行。古性は絶好の4番手。仮に後ろから犬伏に行かれても一人なので、しっかり切り替えればチャンスはある。そして犬伏がカマスが、小松崎は相手が犬伏だけに全開先行。小松崎が合わし切った。
そして脚をためていた古性が2コーナーから仕掛け優勝。
このレースは勝負所の動きはなくスタートのままで打鐘を迎えた単調な流れでした。故にどの選手も迷う事ない動きになりました。犬伏が仮にスタートを取っていたなら、小松崎の仕掛けにも迷いが出たかも知れません。その事は古性にも言えます。犬伏がスタート取ると古性は一番後ろからの攻めになるので、判断ミスも出たかも知れないからです。それが一番の犬伏の敗因と思います。ただ犬伏は連日の先行で、弥彦の長い直線を乗り越え勝ち上がった事。それはいつタイトルを獲っても不思議でない事の証明でもありました。
そして優勝した古性は今年3つ目のタイトル獲得です。総合力で古性に敵う選手は存在しないと思います。これはやはり日頃の強気なレースの積み重ねから来る他の選手に与える威圧感でしょう。
これからも両者の走りに注目です。