今年のG1戦線は古性優作が全日本選抜と、地元岸和田での高松宮記念杯を勝ち2勝。そして同じ近畿の脇本雄太が、ダービーとオールスターを制し、こちらも2勝。そして新田祐大が寬仁親王牌でグランドスラム達成と話題に事欠かない1年でした。

そして迎えた競輪祭は例年のごとくグランプリシートを奪い合う一戦です。7選手までが確定でのシリーズ開幕となりました。残る2つの席も、賞金ランキング7位の平原康多も限られた条件でしか脱落しない状況です。ほぼ残る１つの席の戦いです。開催前は清水裕友がその位置でした。

そして迎えた一次予選トライアル。その中で目立った存在は新山響平、北津留翼、郡司浩平に守澤太志でした。他にも目を引く選手はいましたが、トライアル２戦共に安定して力を発揮した選手は見当たらずでした。

S級S班の選手も本調子と言える出来ではなく、二次予選には勝ち上がりましたが物足りない感じでした。

そして現在賞金ランキング1位であり、競輪界No.1の脚力を持つ脇本雄太も苦しみました。やはりこの所のカマシ一辺倒の走り方が、この結果に繋がったと感じます。昨年までオリンピックの事もあり、出走機会も少なく他の選手が対応の仕方に戸惑っていました。しかし今年に入り出走本数も増え、脇本のパターンが見えて来ました。それが二次予選での敗戦につながりました。

迎えた準決勝。まず10Rは吉田拓矢が先行し、松浦悠士がホームで叩きに行きました。松浦も本調子でなく、できれないと判断し番手に降りました。先行している吉田も張り気味

で内がガラ空き。それを狙っていた荒井崇博がインまくりの形でした。一か八かの作戦がハマったって事です。それを追随した新田の動きも判断ミスがあり幸運が訪れたって事です。ただ荒井はその新田をまくらせなかったのは立派でした。

11Rは新山先行で守澤が番手。その中で郡司は6番手まで躊躇なく下げました。予選の新山の走りを見て、そこまで下げるとは思いもしませんでした。そこから郡司があっさりまくって1着。強かったの一言です。まくられた新山番手の守澤も凄かった。新山残しの郡司と岩本俊介を飛ばしました。リスクある作戦ですが、結果としては優勝を手繰り寄せる走りになったと思います。

そして12Rは北津留vs坂井洋。坂井が突っ張り先行。北津留は内に詰まり敗退。坂井が粘ったと言うより、北津留を封じ込めた関東ラインの勝利でした。

決勝メンバーの並びですが北日本以外は明解。北日本がどう並ぶかがポイントでした。新山、守澤と、新田、成田の福島ラインで別れるかと思いました。なぜなら寬仁親王牌の新田の走りです。ライン先頭ながら仕掛けず内に入って行き、結果は優勝でしたが、評価はマイナスです。その3番手にいた守澤は自らまくっての2着です。私なら2度と付きたくない選手です。しかも準決勝の守澤のリスクある新山残し。対して新田は内突きです。

しかし並びは新田が率先してライン先頭。番手新山で、守澤、成田の形成となりました。

新田はグランプリを見据えての判断か、それとも親王牌での余裕からかは分かりません。新田の先行はイマイチ信用出来ない。昨年のオールスターでもライン4車の先頭で絶好位からでも仕掛け無かったからです。この決勝は、そこに全てがある決勝です。

展開予想

前受けは新田が取る。しかし郡司や平原も狙ってると思います。何故なら前受けからのイン粘りは新山が番手だけに十分考えられるからです。仮に北日本がスタート取り、新田が突っ張り先行で、1番車の平原が中団取ってるなら郡司の上昇に合わせて新田が掛ければ郡司外から新山を狙う。郡司がスタートで中団とってるなら、坂井の上昇に合わせて新田発進。そして郡司のまくりに合わせ新山が番手まくり。それを交わす守澤で決まる。ただ新田が赤板から突っ張れるかです。新田がスタートを取らなければ、どちらかのラインにかなりの確率で粘られると思います。新田の使命はスタート取り突っ張り先行しかないのです。

しかし突っ張らなければ坂井先行で郡司と平原の争いになるでしょう。

 車券的推理予想 9=4ー721 9=2ー715 2ー1ー569

結果　4-2-6 142.6倍(46番人気)

レース経過

スタート合戦は内枠を活かして平原が取りにいき新田を迎え入れるつもりが、郡司が上手く新田を入れない形を作った。スタートは郡司が上手かった。平原も新田も目論見が外れた。その結果、前受けに関東。中団に神奈川勢。そこに荒井。そして北日本で周回を重ねる。

赤板前に前受けの坂井が警戒し始める。

坂井は合わすつもりで出っ切られたら飛び付き策。

新田はイエローライン付近にいたので、あの体勢で飛び付くのは至難の技だが見事に坂井は飛び付いた。新山がピンチに思えたが、既に坂井が脚を使っている事と、新山が出るつもりだった事があり、新山は2コーナー手前から一気に仕掛けた。その番手守澤も平原との競り合いで脚を使っていた事もあり離れた。この時郡司はホーム辺りから仕掛けるタイミングを伺っていたが、少し遅かった。それよりも新山が強かったとも言える。バックでは新山一人が伸びていて、異次元にいる様に見えました。郡司も追い付かず、新山の初タイトルとなりました。

今回の競輪祭はスピード合戦に拍車が掛かっていました。このバンクに合う合わないが如実に出た大会でもありました。そして脇本潰しのレースはこれからも続くと感じます。

グランプリメンバーも決まり、平塚ではまたもや脇本は苦しみそうです。

平塚は先手必勝。脇本の対処はいかにです。

最後に、新山おめでとう。