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第69回オールスター競輪GI展望
レース展望 2026.07.29

第69回オールスター競輪GI展望

#グレードレース展望

 第69回オールスター競輪が、松山競輪場において6日制のナイトレースで開催される。オールスター競輪は、ファン投票によって出場選手が選抜されるのが特徴だが、昨年から番組に少し変更が加えられている。

 ファン投票の上位選手によるシードレースとして、昨年は1位から9位までが出場するドリームレースが1つと、10位から27位までが出場するオリオン賞レースが2つだったが、今年はドリームレースとオリオン賞レースがそれぞれ1つずつとなっている。

 2日目のドリームレースにおける1~6着の6名と、初日のオリオン賞レースの1~3着の3名は、4日目のシャイニングスター賞に進出する。シャイニングスター賞では、失格にならない限り全員が準決勝に進出できる。それ以外の選手は、2走目の二次予選、3走目の準々決勝を経て準決勝進出を目指すことになり、シャイニングスター賞に進出した選手たちよりも1走多く走らなければならないシステムとなっている。

ファン投票で選ばれしトップスターたちの戦い

 ファン投票上位のベストナインによるドリームレースは、昨年までとは違って、今年は2日目の11Rに実施される。

 出場予定選手は、ファン投票1位の眞杉匠と3位の吉田拓矢の関東コンビ、2位の古性優作と5位の脇本雄太の近畿コンビ、4位の郡司浩平と6位の深谷知広の南関東コンビに、7位の新山響平、8位の嘉永泰斗、9位の松浦悠士の9名だ。

 関東コンビと南関東コンビの前後は未定で、松浦は嘉永と連係しそうだが、新山は昨年と同様に単騎だろう。7月のサマーナイトフェスティバル(以下、SNF)を見る限り、脇本がまだ本調子とは言えないだけに、SNFでGII初優勝を飾った吉田と眞杉の関東コンビが中心となりそうだ。

 ファン投票で初めて1位に選ばれたのが眞杉匠だ。昨年は2位だったが、やはり年末のグランプリで鉄壁の近畿ラインに攻めていった走りが、ファンの心をわしづかみにしたに違いない。

 今年は2月の全日本選抜で準決勝敗退だったが、その後のGI、GIIでは優勝こそないものの、すべて優出と好調だ。3連覇を狙っていた7月のSNF決勝では、吉田拓矢の番手ながら勝負どころで一瞬の判断ミスがあり、4着に終わった。今回こそは、ゴールデンコンビの吉田との連係から、ファンの期待に応える走りを見せてくれるだろう。

 古性優作は、昨年はGIでの優勝がなかったこともあってか、ファン投票も昨年の1位からワンランクダウンした。しかし、今年は5月の日本選手権で完全優勝、6月の高松宮記念杯でも優勝と、あきれるほど強い古性が戻ってきている。

 SNFでは4日間勝ち星がなく、ひと息ついた印象だった。それでも決勝では脇本雄太が7番手、古性が8番手という最悪の展開になりながら、不発の脇本から切り替えて3着に突っ込んできたのは、さすがとしか言いようがない。今回も、自分を信じて投票してくれたファンのために優勝を狙っていく。

 郡司浩平は、昨年と同様にファン投票4位だ。SNFの準決勝では、深谷知広が逃げて郡司は番手絶好の展開になりながら4着に沈んでおり、本調子とは言えない状態が続いている印象だ。獲得賞金ランキングも11位にとどまっており、5月と6月の落車の影響が尾を引いているように感じられる。

 それでも、SNFの特別選抜予選では郡司―深谷の並びで3番手を取り切り、そこからの捲りで1着。展開がはまれば、やはり強い。今回のドリームレースでも、自身の調子を確かめる意味で、郡司―深谷の並びになる可能性が高そうだ。

 新山響平は、SS班だった昨年のファン投票では3位で、SS班から陥落した今年は7位まで順位を下げたが、徹底先行を貫くその走りは相変わらず人気が高い。

 SNFは準決勝敗退だったが、特別選抜予選では石原颯を叩いて先行し7着、二次予選Bでは500バンクの高知で打鐘から仕掛け、堂々と逃げ切っている。昨年のドリームレースも単騎で、太田海也に主導権を取られながらも3着に突っ込んでいる。今年も単騎となりそうだが、必ずや見せ場をつくってくれそうだし、単騎でも思い切った先行策があるかもしれない。

 嘉永泰斗は昨年10月にタイトルホルダーの仲間入りを果たし、今年はファン投票でも8位となり、初のベストナインに選ばれた。今年はまだGI、GIIでの優出がなく、やや物足りないが、ここ何年も元気のなかった九州勢を盛り上げている立役者だ。

 SNFも準決勝敗退だったが、二次予選Aでは町田太我と山崎歩夢の先行争いを鮮やかに捲り、荒井崇博とワンツー。4日目特選では中野慎詞の先行を早めに叩きにいき、叩き切れなかったものの3番手を取ってから2着に入っている。調子は悪くなく、今回も対戦相手は強力だが、得意の捲りで一発を狙ってくる。

超コマ切れ戦で波乱の決着も十分

 オリオン賞レースは、ファン投票11位の太田海也と16位の清水裕友の中国コンビ、18位の石原颯と14位の犬伏湧也の四国コンビによる主導権争いが見どころになるだろう。

 12位の寺崎浩平、13位の山口拳矢、15位の北津留翼には同地区の選手がいないため、単騎になりそうだが、注目は10位の佐藤慎太郎と17位の阿部拓真の北日本の2人だ。2人で連係して位置取りを狙うのか、それとも別れて、空いている自力選手の番手にそれぞれ付くのか。

 中国コンビと四国コンビが中心となるレースだが、超コマ切れ戦だけに、波乱の決着も十分に考えられるだろう。

 犬伏湧也は、SNF決勝では5着に終わり、地元地区でのビッグレース初優勝はならなかったが、シリーズを通して絶好調だった。

 特別選抜予選では7番手から、松浦悠士が離れ気味になるほどのスピードで捲って2着。アルタイル賞では、捲って2着の深谷知広に3車身の差をつけて圧勝し、準決勝でも2着の脇本雄太に4車身差をつけて圧巻の逃げ切りを決めた。

 決勝は石原颯との連係で、石原がきっぷよく逃げてくれたものの、勝ち切ることができなかった。今回こそは石原との好連係を決めて雪辱を果たし、SNFに続く地元地区でのビッグレースで初優勝を狙ってくる。

 太田海也は、今年はまだビッグレースでの優出がないが、もちろん世界レベルの先行・捲りのスピードが鈍ったわけではない。7月の伊東温泉FIでは、イギリスのリチャードソンを相手に逃げ切って優勝している。

 次場所のSNF準決勝では、郡司浩平を連れた深谷知広の早駆けに対処できず、8着に終わった。しかし、一次予選では捲って1着となり、清水裕友とワンツー。二次予選Aでは中野慎詞に叩かれながらも3番手を確保し、そこから捲って2着となり、松浦悠士とワンツーを決めている。今回も、好相性の清水や松浦とともに勝ち上がっていく。

 寺崎浩平は、6月の高松宮記念杯決勝で落車しながらゴールし、その影響で次場所の取手記念とSNFの欠場を余儀なくされた。

 オールスターは昨年、GI初優勝を飾った大会だけに今回も活躍を期待したいが、体調面に不安が残るのは避けられない。近畿勢は競輪界を席巻し続けているが、脇本雄太、古性優作、寺崎浩平の3人があまりにも強いため、次に続く若手が育ちにくい構図になっているのも事実だ。そのため、3強の一人に綻びが出ると、今回もSNFのときと同様に、近畿勢は苦戦を免れないかもしれない。

 中年の星・佐藤慎太郎はファン投票10位と、高い人気を保っている。ファン投票ベスト18の中では、もちろん最年長だ。

 3月の取手GIII決勝では、小堀敢太の逃げを差し切って4年ぶりの優勝を達成し、神山雄一郎が持っていたGIII最年長優勝記録を49歳4カ月へと更新している。その後も4月の伊東温泉GIIIで決勝4着と好調だったが、7月の前橋GIII決勝で落車し、次場所のSNFの欠場を余儀なくされた。

 もちろん今回は、投票してくれたファンのためにも元気な姿を見せてくれるだろうし、衰え知らずの中年パワーを発揮してくれるだろう。

松本貴治がホームバンクで輝きを取り戻す

 地元愛媛の期待は松本貴治だ。松本は2023年のオールスターでGI初優出を達成。昨年のオールスターでは2度目のGI優出を決めて決勝4着、10月の寬仁親王牌では決勝2着、11月の競輪祭では決勝6着と快進撃を続けた。

 グランプリ出場はならなかったが、選考順位10位で補欠に選出された。今年は3月の松山記念での優勝があるものの、GIでは優出がなく、物足りない成績が続いている。SNFでの犬伏湧也の躍進によって場内が大いに盛り上がっただけに、今回も地元ファンの声援を受けて、松本が活躍してくれることを期待したい。

 新田祐大はSNFの準決勝で3着に突っ込み、2年ぶりにビッグレース優出を決めたが、その日に先輩・伏見俊昭の悲報に接し、泣き崩れた。

 そして、先輩への弔いの思いで臨んだ決勝は単騎戦となり、残念ながら優勝には届かなかったが、最終4コーナーの5番手から内に切り込んで準優勝と健闘している。

 獲得賞金ランキングも新田が9位へと浮上し、新山響平も10位につけている。今回も北日本の選手たちは、天国の伏見俊昭へ届く力強い走りを見せてくれるだろうし、今年はいわき平で開催されるグランプリ出場を目指してくるだろう。

 選考委員会の推薦枠によって出場する埼玉の山口多聞、神奈川の塩島嵩一朗、岐阜の岩井芯、福井の市田龍生都、広島の黒瀬浩太郎など、120期台の新鋭たちの活躍にも期待してみたい。

 特に注目したいのが125期の岩井芯だ。今年1月にS級へ昇格し、2月の防府FIで初優勝を飾った。5月の松阪では文句なしの完全優勝でGIII初優勝を達成し、6月の岐阜でも2度目のGIII優勝を達成している。

 ビッグレース初出場となったSNFでは一次予選で敗れたが、2日目と3日目の選抜で2勝を挙げており、今回はいよいよ初のGIに挑む。

プレイバック 2021年 第64回大会 いわき平競輪場  

古性優作が脇本雄太の逃げに乗ってGI初優

 新田祐大―佐藤慎太郎―守澤太志―成田和也の北日本勢が前受け。5番手に単騎の中川誠一郎、6番手に脇本雄太―古性優作の近畿コンビ、その後ろに単騎の平原康多、深谷知広が続く並びで周回を重ねる。

 赤板まで動きはなかったが、赤板過ぎから最後尾の深谷が勢いよく上昇し、その動きに乗るような格好で脇本も上がっていく。深谷はバックで先頭に立つが、打鐘とともに脇本が深谷を叩いて先行態勢に入る。

 近畿コンビを追ってきた平原が3番手をキープし、追い上げた新田が4番手に付け、深谷はイン側を後退していく。脇本は早くも全開モードで、脇本―古性、平原、新田―佐藤―守澤、中川の並びで最終ホームを通過する。

 バックから新田が捲り上げるが、脇本のカカリがよく、3番手の平原の横まででいっぱいとなる。番手絶好となった古性が脇本を交わしてGI初優勝を達成。逃げ粘った脇本が2着、大外を伸びてきた守澤が3着に入った。

バンクの特徴

カントのきつい高速バンクだが、最後の直線が長い

 周長は400m、最大カントは34度01分48秒、みなし直線距離は58.6m。典型的な400バンクで、カントが立っているためスピードに乗りやすく、回転力のある自力選手に向いている。ただし、みなし直線距離が長いため逃げは厳しく、後方からの捲りや脚をためての差しが有利だ。

 今年3月に開催された記念競輪の決まり手を見てみると、全48レースのうち、1着は逃げが6回、捲りが18回、差しが24回。2着は逃げが7回、捲りが9回、差しが11回、マークが21回となっている。やはり直線が長いため逃げは厳しく、先手ラインの選手が1着を取った回数も17回にとどまっている。

 その際のベストタイムは11秒0で、4日目10Rの特別優秀で記録されている。

 レースは打鐘とともにカマした山崎賢人が主導権を握り、一本棒の状態となるが、最終2角の9番手から仕掛けた和田健太郎がスピードよく上昇し、そのまま1着でゴールイン。3番手から追い込んだ成田和也が2着、山崎が3着だった。追い込み選手の和田でも9番手から捲り切れるのだから、本当にスピードに乗りやすいバンクだということが分かるだろう。

 ただ、近くに川が流れているうえ、バック側に大きな建物がないため走路に風が吹き込みやすい。走路の外周にポリカーボネート製の防風板が設置されているものの、選手は風の影響を受けやすい。

 ほとんどのレースは11秒台中盤のタイムで決まっており、他の高速バンクのような10秒台のタイムは1回もなかった。ちなみに、2018年3月に開催されたウィナーズカップでも、10秒台のタイムは出ていない。

 ほとんどのレースは、やはり直線が長いため仕掛けが遅めになる。400バンクでの捲りは最終2角からの仕掛けが定石だが、松山では最終バック過ぎからの遅めの捲り追い込みも多く見られる。

 そのため、脚をためて捲り追い込みを狙う選手たちが、仕掛けどころでバッティングし、もつれてしまうことがある。そのもつれを尻目に、先行選手がまんまと逃げ切ってしまうケースも少なくない。

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