デビュー3年以内の若手選手によるナンバーワン決定戦・ヤンググランプリ2025が平塚競輪場におけるKEIRINグランプリシリーズの初日11Rに実施される。今年は全員がS級2班で123期が5名、125期が4名の組み合わせだ。7月に小松島記念を優勝した西田優大や10月の世界選手権に出場している中石湊が中心となりそうだが、伸び盛りの若手ぞろいのレースだけにヤングパワー炸裂の激しい攻防戦が期待できるだろう。

西田優大 広島 123期
西田優大は7月の小松島記念決勝では単騎戦で打鐘では最悪の8番手の展開だったが、最終2コーナーから捲り上げると目の覚めるようなスピードで犬伏湧也の逃げを捲り切り、2着の島川将貴に2車身の差をつける圧勝劇で記念初優勝を飾っている。123期のS級への特別昇級は4人目だったが、記念優勝はもちろん一番乗りだ。8月のオールスターでGI初出場を果たし4走のうち2走で先行し3日目選抜二では2着と健闘している。11月の競輪祭では二次予選Bへ勝ち上がりと活躍しており、今回も自慢のスピードを見せつけてくれるだろう。

篠田幸希 群馬 123期
篠田幸希は昨年3月に松山で実施された123期のルーキーチャンピオンレースで同県の浮島知稀の逃げに乗っての番手捲りで優勝している。その2カ月後の青森で3場所連続優勝を達成して123期では2人目のS級2班への特別昇級を果たし、今年7月の富山FIでは予選が逃げ切り、準決と決勝は捲りでS級初優勝を完全優勝で達成している。11月の高知でも準決は捲りの2着だったが、予選と決勝は捲りの1着で2度目のS級優勝と波に乗っている。今回も出場予定の関東3人でうまく連携できれば強力なラインとなるだろう。

森田一郎 埼玉 125期
森田一郎は昨年10月の西武園で3場所連続の完全優勝を達成し125期では一番乗りでS級への特別昇級を決め。続く10月の京王閣で実施された競輪ルーキーシリーズで捲って初優勝を飾っている。今年3月の125期のルーキーチャンピオンレースでは好位置を奪取してから捲るもゴール前で阿部英斗に交わされて2着だった。5月の京王閣FIの決勝で落車して2カ月間の欠場が続いたが、8月の西武園記念では一次予選と二次予選は逃げ切り、4日目特選も逃げて2着と強い走りを見せており、今回も先行主体の走りで優勝を狙ってくる。

中石湊 北海道 125期
中石湊はナショナルチームに属しており、8月に開催された全日本選手権トラックでは1kmTTで金メダルを獲得、10月にチリのサンディアゴで開催された世界選手権にも出場している。3月に玉野で実施された125期のルーキーチャンピオンレースでは最終先行の谷内健太の番手にハマるが、森田一郎と阿部英斗に次々と内から捌かれて後退するも何度も踏み直して3着入線とさすがの地脚を見せつけていた。7月の立川は完全優勝でS級初優勝、8月のオールスターでGI初出場を果たしおり、今回も単騎戦となっても主導権取りを狙ってきそうだ。

黒瀬浩太郎 広島 123期
黒瀬浩太郎は高校、大学と自転車競技で活躍、競輪選手養成所ではゴールデンキャップを獲得し在所成績も2位と潜在能力は高いが、2023年4月にデビュー後はやや足踏み状態が続いた。昨年3月に松山で実施された123期のルーキーチャンピオンレースも単騎で臨んだが、勝負どころで8番手となり捲り届かずの6着に終わった。それでも昨年12月の奈良で3場所連続完全優勝を達成してS級に特別昇級すると、今年4月の伊東温泉は完全優勝でS級初優勝を飾っており、今回は同県同期の西田優大との連係からチャンスを掴んでくるだろう。

阿部英斗 福岡 125期
阿部英斗は今年1月の別府で3場所連続完全優勝を達成してS級へ特別昇級、3月に玉野で実施された125期のルーキーチャンピオンレースでS級初優勝を飾っている。レースは切って切っての目まぐるしい展開となり、最終先行の谷内健太の番手を内から切り込んだ森田一郎が奪い、阿部もコースを縫ってきて森田を追いかけ、番手捲りの森田を交わして優勝している。阿部は先行すると末を欠いて大敗するケースが多いが、ヨコの動きと位置取りの上手さが強みで、今回も同県の梶原海斗との連係から本領発揮の捌きを駆使して優勝を狙ってくるだろう。

松崎広太 茨城 123期
松崎広太は高校、大学では自転車競技の主に中長距離で活躍していた。2023年4月にデビューし今年にS級に上がったがS級での優勝はまだない。昨年3月に松山で実施された123期のルーキーチャンピオンレースでは中団取り狙いで赤板前から上昇するも黒瀬浩太郎に切られ、浮島知稀-篠田幸希-牧田悠生の信越ラインにも叩かれて後退し力を出し切れずに7着に終わっている。それだけに今回は篠田幸希と森田一郎の関東の2人との連係があるかどうか未定だが、たとえ単騎となっても見せ場をつくれる走りを念頭に臨んでくるだろう。

梶原海斗 福岡 123期
梶原海斗は高校、大学と自転車競技で活躍、2021年にインカレのスプリントで優勝している。競輪選手養成所の在所成績は53位と振るわなかったが、昨年4月の別府で3場所連続の完全優勝を達成して123期では一番乗りでS級に特別昇級している。S級での優勝はまだないが、今年は11月の小田原記念までに81走して1着が22回、2着が13回、3着が11回で3連対率は56.7%と好調だ。8月の小倉GIIIでは二次予選で逃げて7着と敗れたが、一次予選と3日目特選は逃げて2着と健闘しており、今回も自慢のダッシュ力を遺憾なく発揮してくれるだろう。

栗山和樹 岐阜 125期
栗山和樹は高校、大学と自転車競技で活躍、大学卒業後は一般企業に就職するが、2年ほどで退社して再び自転車に乗りはじめて競輪選手養成所に入所、卒業記念レースでは準優勝と好成績を収めた。今年2月の川崎で3場所連続優勝を達成してS級へ特別昇級、5月の奈良FIで予選と準決を逃げ粘りの2着で勝ち上がり、決勝は捲りでS級初優勝を飾っている。8月のオールスターでGI初出場、9月の共同通信社杯、補充ながら10月の寬仁親王牌にも出場しており、今回は単騎戦になりそうだがビッグレースでの経験を糧に勝利を目指す。
プレイバック
最後の直線でインを伸びた纐纈洸翔が優勝

中野慎詞-大川剛の北日本コンビが前受け、太田海也-真鍋智寛の中四国コンビ、後藤大輝-東矢圭吾の九州コンビ、村田祐樹-纐纈洸翔の中部コンビと続き、最後尾に単騎の山口多聞の並びで周回を重ねる。青板周回のバック過ぎから中野が誘導員との車間を空けはじめる。そこへ村田が上昇してくると、中野は中部コンビを前に出して3番手に収まる。続いて後藤が上がってきて、九州コンビを追っていた山口は踏み遅れて後退するが、後藤は中部コンビを切って先頭に立つ。しかし、打鐘とともにスパートした太田が一気に前団を飲み込んで主導権を奪う。真鍋は太田から離れ、すかさず中野が太田を追い、中野が太田に迫ったところで最終ホームを通過する。太田の後ろに入った中野は最終バックから番手捲りを打つが中野も抵抗し、両者の激しいもがき合いが最後の直線まで続く。ところが、ゴール手前で太田が中野を押し上げるとインが空き、そこへ4コーナーからインに切り込んでいた纐纈が突っ込んで先頭でゴールイン、中野が2着、中野に切り替えていた東矢が3着に入る。