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KEIRINグランプリ2025展望
レース展望 2025.12.03

KEIRINグランプリ2025展望

#グレードレース展望

今年のベストナインによる真の王者決定戦・KEIRINグランプリ2025が平塚競輪場におけるKEIRINグランプリシリーズの3日目、11Rでいよいよ号砲を迎える。4人が乗ってきた近畿勢が優勢だが、眞杉匠と吉田拓矢の関東ゴールデンコンビも強力だ。今年は初出場が4人とフレッシュな顔ぶれとなったが、嘉永泰斗と阿部拓真の2人はGI初優出で初優勝を飾っており、グランプリ初出場の4人による初優勝の偉業達成にも十分期待できる。


グランプリスラムを達成も現在は怪我のために欠場中
脇本雄太 福井 94期

脇本雄太は2月の全日本選抜では寺崎浩平の捲りを差して優勝、グランドスラムを達成すると同時に全GIとグランプリを優勝する史上初のグランプリスラム達成という偉業を成し遂げた。6月の高松宮記念杯も寺崎浩平の逃げに乗って番手捲りで優勝している。しかし、10月の寬仁親王牌の3日目にレース前のウォーミングアップ中に負傷して病院へ搬送され、準決を当日欠場した。手術をしたものの完治には数カ月以上はかかる見込みと本人がSNSで発信しており、グランプリに出場できても残念ながら多くは期待できないだろう。

相性抜群の眞杉匠との連係で競輪祭の悔しさを晴らす
吉田拓矢 茨城 107期

吉田拓矢は5月の日本選手権決勝で眞杉匠の捲りを差し切って優勝、4年ぶり2度目のグランプリ出場を決めた。その後は8月の西武園記念の準決で落車して途中欠場、欠場明けの京王閣記念でも落車と災難に見舞われたが、次場所の寬仁親王牌の準決で眞杉の逃げに乗っての1着で優出と復活を遂げた。11月の競輪祭でも優出を果たしたが、決勝では3番手を取り切るも捲り切れずに8着に終わった。レース後のインタビューで「力不足、早く帰って練習したい」と述べており、グランプリでは眞杉との連係で競輪祭の悔しさを晴らしてくれるだろう。

初出場のグランプリで力の限り近畿勢を引っ張る
寺崎浩平 福井 117期

寺崎浩平は2月の全日本選抜決勝で眞杉匠の逃げを捲って脇本雄太の優勝に貢献、3月のウィナーズカップ決勝で新山響平ともがき合って8着だったが古性優作の優勝に貢献、6月の高松宮記念杯決勝では逃げ9着だったが番手捲りの脇本雄太の優勝に貢献と今年も近畿勢を力の限り引っ張ってきた。そして8月のオールスター決勝では脇本の番手をもらい、番手捲りで念願のGI初優勝を飾っている。グランプリでは4人そろった近畿勢の並びがどうなるかは未定だが、ラインがどうなろうとも寺崎はいつもどおりに先頭で風を切っていくだろう。

グランプリを制覇してホームバンクの全日本選抜へ向かう
嘉永泰斗 熊本 113期

嘉永泰斗は準決まで勝ち上がった8月のオールスターの頃から上昇気配に。9月の共同通信社杯で2度目のビッグレース優出を果たし、10月の寬仁親王牌でGI初優出、初優勝の快挙を成し遂げた。11月の競輪祭では準決で4着と敗れたが、6日目特別優秀では6番手からの捲りで上がりタイム10秒9をマークしており調子に問題はない。初出場のグランプリではもちろん優勝を狙っていくが、嘉永の一番の目標は来年2月に震災から復興したホームバンク熊本で開催される全日本選抜へ、グランプリ優勝を手土産にすることだ。

ライン不問でレースの流れに乗っての一発を狙う
阿部拓真 宮城 107期

阿部拓真は11月の競輪祭では嘉永泰斗と同様にGI初優出で初優勝の偉業を達成した。一次予選1は3着、一次予選2は6着とこれといって目立ったところはなかったが、二次予選Bは北日本とつながりの強い深谷知広-岩本俊介の南関東の3番手ではなく、単騎を選択して最終的には志田龍星-三谷将太の逃げを追って2着、準決も単騎を選択し最終的には郡司浩平-松井宏佑の逃げを追って2着とレース勘が冴えわたっていた。グランプリは郡司との連係が考えられるが、あえて単騎を選び、レースの流れに乗っての一発を狙ってくるかもしれない。

タテヨコ縦横無尽の走りでグランプリ連覇へ
古性優作 大阪 100期

古性優作は昨年のグランプリ覇者だが、今年は3月のウィナーズカップの優勝はあるもののGIの優勝はなしだった。それでも6大会のGIすべてで優出しており獲得賞金ランキング1位で5年連続5度目のグランプリ出場を決めている。ただ10月の寬仁親王牌では優出しているものの4日間勝ち星なしに終わっており、後半戦に入ってからやや調子落ちとなって本来の鋭さ影を潜めている印象だった。それでも11月の競輪祭では完調とはいえなくとも二次予選Aと準決で1着と持ち味の縦横無尽の走りが戻ってきており、年末の大一番で連覇を目指せるだろう。

自在な走りで好位置をキーブして勝利を掴む
眞杉匠 栃木 113期

眞杉匠は今年GIの優勝はなかったが、7月のサマーナイトフェステイバルを優勝し獲得賞金ランキング4位で3年連続3度目のグランプリ出場を決めている。ただ2月の全日本選抜と5月の日本選手権で優出しているが、6月の高松宮記念杯以降はGIでの優出がないのがやや気がかりだ。それでも競輪祭の準決は吉田拓矢が3着、眞杉がタイヤ差の4着と惜敗だったが、一次予選1は捲って2着、一次予選2も捲って1着、6日目特別優秀も捲って1着と調子は悪くなく、グランプリでも眞杉らしい自在な走りで勝利を掴んでくるだろう。

南関東のエースとして地元ファンの期待に応える
郡司浩平 神奈川 99期

郡司浩平は今年のGI優出は6月の高松宮記念杯のみとS級S班としては物足りなかったが、記念優勝は1月の松阪を皮切りに6回と賞金を積み重ね2年連続6度目のグランプリ出場を決めた。11月の競輪祭も準決で敗れたが、一次予選1は打鐘の7番手から捲って1着で佐藤慎太郎と永澤剛の北日本の2人も連れ込んでのラインで上位独占、一次予選2は逃げ切りで松谷秀幸とワンツーと状態は完調に近い。平塚でのグラプリは2020年が9着、2022年が3着だが、今年こそは南関東のエースのとして地元ファンの期待にきっと応えてくれるだろう。

近畿ラインに乗って再び鋭さを発揮する
南修二 大阪 88期
南修二は9月の共同通信社杯決勝では寺崎浩平-古性優作の3番手で、寺崎が逃げ、巻き返してきた太田海也を古性が押し上げて太田が落車すると、南は空いたインに突っ込み、古性を交わし、逃げ粘る寺崎も差し切ってデビューから22年の44歳でビッグレース初優勝を達成した。その後は10月の寬仁親王牌では二次予選Aで敗れたが、11月の競輪祭では一次予選1が寺崎浩平の逃げを差して1着。二次予選Aが古性優作の捲りを追っての3着で準決まで勝ち上がっており、初出場のグランプリでも近畿ラインに乗って好勝負を演じてくれるだろう。


プレイバック
古性優作が脇本雄太の逃げに乗って2度目の優勝(2024年)

眞杉匠-平原康多の関東コンビが前受け、3番手に脇本雄太-古性優作の近畿コンビ、単騎の清水裕友が続き、6番手に北井佑季-郡司浩平-岩本俊介の南関東トリオ、最後尾に単騎の新山響平の並びで周回を重ねる。青板周回のバックから眞杉が後ろを警戒しながら誘導員との車間を空けはじめると、2センターから北井が上がってくる。残り2周の赤板で北井が並びかけると眞杉は突っ張る気配を見せるが、結局は引いて南関東3番手の岩本の内で粘る。すると6番手になっていた脇本が打鐘とともに発進、合わせて北井も踏み込むが脇本にあっさり叩かれてしまう。近畿コンビに清水が続き、追い上げた新山が4番手、5番手に郡司、6番手に北井、7番手に眞杉、8番手に平原、9番手に岩本で最終ホームを通過する。脇本のかかりはよく後方からの反撃がないまま最後の直線に入り、番手絶好の展開となった古性が抜け出して2度目のグランプリ優勝を達成、清水が2着に入り、脇本は3着。


バンク 冬場はバンクが重く、タイムは出にくい

周長は400m、見なし直線距離は54.2m、最大カントは31度28分37秒。カントも直線の長さも標準的なバンクで、走路もクセがなくて走やすいので戦法的な有利・不利はなく力どおりの決着になるケースが多い。しかし、バック側に相模川があり海も近いので冬場はバンクが重い。2022年に開催されたグランプリシリーズでは3日間天候に恵まれて風も風速1m前後と穏やかだったが、大半のレースが11秒台後半から12秒台の上がりタイムで決まっていた。ちなみに初日の16時の気温は12.6度、2日目は13.3度、3日目は10.8度だった。

2022年のグランプリシリーズの決まり手を見てみると、全32レース(ガールズグランプリを除く)のうち1着は逃げが6回、捲りが12回、差しが14 回、2着は逃げが5回、捲りが7回、差しが16回、マークが10回となっている。やはり捲りが優勢だが、逃げの連絡みも少なくなく、戦法的には不利とはいえないだろう。先手ラインの選手が1着を取った回数も12回だ。
直線ではとくに伸びるコースはないが、2022年のシリーズでは後方から中コースを鋭く伸びて1着というケースがよく見られた。
FI戦の初日10Rの特選では南修二は浅井康太を目標にしたが、浅井が後手を踏んで7番手になってしまうと南は最終4角手前から内に切り込み、直線では中コースを鋭く伸びて1着になっており、上がりタイムも11秒0とシリーズのベストタイムをマークしている。これは2020年のグランプリで和田健太郎が初優勝を飾ったときとほぼ同じ展開とほぼ同じコース取りで、上がりタイムも11秒0とまったく同じだ。なお中コースを伸びての1着はそのほかにも4回あり、インコースをそのまま伸びての1着も1回ある。
逆にイエーローライン付近の大外を捲っての1着はほとんど見られず3日間で1回だけだった。グランプリでは脇本雄太が8番手から捲って優勝しているが、8番手から終始中コースを駆け抜けての1着だった。


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