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編集部コラム KEIRIN ON MY MIND
特集 2025.10.22

編集部コラム KEIRIN ON MY MIND

今日10月12日は松阪記念の3日目だけど、メジャーじゃなくて、マイナーへ向いちゃうのが俺なんだな。狙いは朝8時50分からの防府モーニング2Rと、夜8時からの函館ナイター11R。函館はちょうど場外発売をやってるんだけど、必ず顔を出すラーメン店は店主のマサさんがインフルエンザにかかって10日から休業中。この2レースについて語り合うのを楽しみにしていたのに残念だな。家で打つことにするよ。

なぜ残念かって…、聞いてくれなくても話すよ。

9月末の奈良で開催された平安賞のときに、町田太我の走りを見て、マサさんがぽつりと、「町田は、俺たちが思ってる、いわゆる先行選手だよな」と言ったのが始まり。

町田太我は広島の先行選手で、117期の25歳。デビュー半年でS級に駆け上がった、身長181.6センチの逸材だ。7月の岸和田で昨年10月以来の決勝に乗って、9月に入り川崎、佐世保のFⅠを連覇。やっと長い低迷期を脱したようで、この平安賞も面白いってことで狙っていた。結果は一次予選と二次予選が先行して1着、3着で、準決勝は番手にはまったあと、深谷知広(静岡)がカマしてきたときの対処が遅れて大差の9着。最終日はまた2着に逃げ粘っている。

マサさんが先行選手の定義まで語ってくれたんだけど、そのときは車券に追われて、あまり話しこめなかったんだ。首都圏でも虫が鳴く秋の夜長にウイスキーを舐めながら、俺たちの先行選手のオンマイマインドをしてみたわけ。

マサさんが言う先行選手の定義は三つ

1、成績が極端。逃げて連に絡むか、出鼻をたたかれたり、まくられたりして沈むか。
2、先頭に立ってから、波を作ったり、ペースに緩急をつけたりして逃げ切りを狙う。
3、連対は圧倒的に先行してのものが多い。

マサさんの定義につけ加えると、いつまでも追い込み選手や自在選手にならない、不器用さと無骨さを持っていること。自転車競技は風との戦いだから、脚力に差がなければ、先行は絶対に不利。それでも風を切って逃げる。高倉健みたいに、「不器用ですから」というのが伝わってくることで、こっちも痺れる。逃げて圧勝したのに、翌日はエッという競走で大きな着を取ってしまう。強くてパワフルだけど、モロさや弱みも併せ持っている。ここらへんの偏った考え、わかってもらえます?ついてこれます?

青森の新山響平、徳島の犬伏湧也、岡山の太田海也はどうです?と問われると、もちろんザッザッザ・先行選手だけど、ちょっと強すぎる。テクニックで逃げ切るんじゃなくて、競技的な力で逃げ切ってしまう。そこがマサさんが言った、俺たちが思っている、いわゆる先行選手との違いかな。町田にはその香りがする。若手では長野の菊池岳仁、福岡の後藤大輝なんかも今は逃げることが第一義のスタイル。デビューしたての選手たちはもちろん先行が基本だけど、そのまま上へ上がっていくのは苦難の道。なにより今の上位クラスで優勝するためには先行一本では苦しい。少しだけベテランだと、千葉の野口裕史、和歌山の中西大などはザ・先行選手。A級でパッと思いつくのは長野の宮下一歩かな。

あっそうだ、東京の浦山一栄を忘れてた。72期の53歳で今はチャレンジ戦を走っている。8月に通算500勝を達成した先行選手。浦山はすでに先行職人という異名を持っている。番手の選手に「ついていて酔わされた」と言わしめる先行。後ろに眼がついているように、緩急をつけ、波を作って逃げる。10月1日の豊橋最終日では抑え先行で2着。後ろが並走になって、そのまま絶妙のペースで1周も競り合わせている。9月24日の福井最終日は後ろを取っかえ、引っかえさせながら、まんまと逃げ切ってしまった。KEIRIN.JPでその職人技をご堪能ください。

さて、秋の夜長の先行選手オンマイマインドから数日経ち、ラーメン店の常連のタナカくんが10月10日からの防府モーニングで浦山、11日からの函館ナイターで町田と中西が走るのを教えてくれた。12日の夜はこの話で盛り上がろうよとマサさんと話していたわけ。それなのにマサさんはインフルエンザでいない…。

12日は朝8時に防府モーニングの車券を購入。浦山のレースを仕留めたけど、逃げ切る車券だけでよかったな。2着は買わずに絞ればよかった。倍にしかならなかったもん。やっぱり俺は小さいね。

函館の11Rは準決勝。④町田と⑥中西、⑦菅原大也の三分戦だ。⑥中西に先行されて④町田は出られなかったのに、5番手からのまくりで勝っちまった。後ろの⑤月森亮輔は切れて、2着が➀神山拓弥、3着は➆菅原で3連単は➃➀⑦2840円。初日特選は単騎で最後方からまくって押し切っているし、今回の町田は一体どうなってるの。相手だって、町田に出られたら、まくっていけないと思うからこういう展開になるんだけど。でも、このパターンはタイミングが取れずに不発が多かったんじゃないの。覚醒したのか、町田。

あー、みんなと語り合いたい!マサさん、早く営業再開してよ。気の置けないやつらと競輪のことをわちゃわちゃ話せるのが楽しいんだ。いつも店はあいているもんだと思ってた。たかが競輪場のラーメン店だけど、されど競輪場のラーメン店だったのが身に沁みる。

ちなみに町田の出身地・広島は牡蠣の生産量が日本一だけど、10月1日だった養殖牡蠣の解禁日が20日に延びたとか。猛暑と牡蠣殻の処理問題で、昨年に続いてのことらしい。辛口の白ワインに生牡蠣って、よく言うけど、俺もマサさんも牡蠣には冷酒派。もうすぐ始まる牡蠣小屋で一杯やろうね。

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