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直送!競輪場便りfrom小倉競輪場 高橋清太郎(岡山・97期)
インタビュー 2025.10.08

直送!競輪場便りfrom小倉競輪場 高橋清太郎(岡山・97期)

#競輪場便り

今は一番競輪が楽しい

 7月小松島では2021年3月松山以来となる4年4カ月ぶりの優勝も決めた。今期は91点近くまで競走得点を戻してきた高橋は「やっとここまで戻ってこれたかな。今期はS級点を取りたい」と意気込んだ。

 2019年後期から1年間、2021年後期から1年間と、過去には通算4期のS級を経験しているが、今まで一度もS級でS級点を取ったことがない。「2022年前期の序盤はS級点が取れていたけど、3月に腰を痛めてから一気に崩れてしまった」。10年前に一度、腰の手術はしていたが、落車をすると体をかばった影響で腰痛が出ていた。3年前が痛みのピークだったという。

 「まともな収入もないし、次の仕事も頭をよぎった。でも、どこかで区切りをつけないと次に進めない。まずは40歳までリハビリを続けながら走ろうと思った」

 漠然と現役を続けるわけではなく、期間を決めたことで気持ちが楽になった。2年前の春に尾道に移住したことも、高橋にとっては転機となった。

 「岡山にいる時は環境に甘えて、練習も人任せだった。移住したら1人でやらなきゃいけない。いろんなジムを試す中で、呼吸法を教えてくれるジムがあった。そこで呼吸が浅いことに気づいたり、腰痛の改善点を見つけられた。今考えれば当たり前のことを見落としていた」

 タイミングが合えば才迫兄弟と一緒に練習することがある。才迫開が面倒を見ている弟子に話すペダリングのアドバイスに耳を傾けることも適性出身の高橋にとっては新鮮だった。いろいろなものがかみ合って、ようやくS級復帰が見えてきた。

 「僕の子供が3姉妹で、レース前は『頑張ってきて』、帰れば『かっこよかったよ』と言ってくれる。僕は自分のためには頑張れない性分なんでね。あの子たちのためにもS級で戦うところを見せてあげたい」

 けがや腰痛で、ここまでは思い描いた競輪人生ではなかったが、ひとつの区切りにしていた40歳をいい形で迎えられた。「やっと自転車と向き合えるようになった。今が一番楽しい。次は45歳まで頑張ることに更新しました」と高橋は笑う。優勝した小松島の後は3場所連続で決勝を逃しているが焦りはない。必ずS級に返り咲いてみせる。

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