福井ではGⅡの共同通信社杯競輪が開催されている。一次予選と二次予選が自動番組というのが特色で、競走得点と前日の着順でレースが組まれる。用事があって、3日目の準決勝からの参加になったんだけど、気温はまた真夏の34度に戻った。昨日から3、4度上がったみたい。大雨、激しい気温の変化。もう勘弁してくれとつぶやきながら、午前11時半、競輪場のラーメン店に到着。
常連のトミさんとタナカくんが同じテーブルに座ってた。ちょうど店主のマサさんが2人にラーメンの丼を置いたところ。こちらに手を挙げながら、「暑いときには熱いもの」とトミさん。続いてタナカくんは自分の丼を指さして、「バテたら、チャーシューメン」。なにを言ってんだか。ほかにもお客さんがいるのに。こちらも同じテーブルに腰かける。
早めに競輪場に来たのは4Rを走る青野将大を買いたかったからなんだ。青野は神奈川の先行選手で、117期の31歳。年齢が高いのは、大学卒業後に自転車競技をやめて就職していた時期があるから。とにかく逃げるイメージがあったけど、最近はちょっと違う。函館のオールスターでは負け戦ながら、まくりで1勝、2着2回。このときにタナカくんと青野がいいねと話してたら、前回の岐阜記念ではまくりで連勝して準決勝に進出。それも前へ前へと攻めて、ほかの選手をさばいて位置を取ってからの仕掛けだった。力比べになる7車立てではなくて、9車立ての方が向いている。競輪競走が好きっていう走りをしてくれる。ということで共同通信社杯でも狙ってみたいとなったわけ。
初日はまともに逃げて6着に沈んだ青野だが、2日目は豪快に逃げ切った。購入したのは3連単。逃げそうな⑨後藤大輝の番手を回る①伊藤旭と、②青野、その後ろの⑤佐々木龍を1、2着にして、3着を流した。①②⑤-①②⑤-①②③④⑤⑥⑨。
レースは最終ホームで⑨後藤が先行。番手が①伊藤で、その後ろに②青野-⑤佐々木がいる展開になった。できたと思ったのに、まくっていった青野を伊藤がブロックして2人が一緒に外へ飛び、⑤佐々木が1着で、⑨後藤が2着。3着に⑦佐々木悠葵が入って、3連単は⑤⑨⑦の6万6350円。これは悔しい。伊藤は追い込み選手じゃないから加減がな。そして青野は整えてからのまくりでいいと思ったけど、後ろに佐々木がついていたし、2コーナーからまくっていくのは仕方ないか。このレースが青野なんだな。明日も買いにくるよ。
俺が外れたのを見て、タナカくんがすかさず切り出してくれた。
「9月12日は912でクイズの日だったんです。青野選手をヒントに、僕も皆さんが集まったときに出そうと考えてきたクイズがあります。これはあくまで自分調べなんですけど、競輪選手には色が苗字に入ってる選手が42人います。桜、藤、金とかじゃなくて、純粋に色ですよ。一番多いのは何色でしょうか?」
これ難問じゃない。
「ヒントは1番車から4番車の色。だから白、黒、赤、青」
不意を突かれて、誰も言い出さない。青野からの流れでいけば青だけど…。まあ赤はないかな。白か黒か。
「白か黒だと思うけど、白でいく」と俺。
「ブー、残念。答えは黒で、13人。第2位が白で11人。青は7月に千葉の青山佐知男さんがやめたから、8人。赤が7人で合わせて39人。全部で42人だから3人足りないじゃないですか。その3人は誰でしょう?」。
こんなクイズを出す手間暇がすごいな、タナカくん。
「福島の緑川修平と、福岡の紫原政文。あと一人は誰だろ?」とトミさん。しばし沈黙のあと、
「わかった、確かにそうだ、色だって気づかない」とトミさんが笑い出した。「宮城にいるでしょ、69期なのにまだS級を張っている渋い追い込み選手が」と続けた。
このヒントでわからない俺じゃない。答えは紺野哲也。宮城の追い込み選手で、青野より色的に濃い。GⅠ、GⅡからは遠ざかっているけど、52歳なのに元気一杯。69期は稲村成浩と澤田義和が強かったけど、稲村が引退して、点数的には紺野が澤田を抜いてしまった。8月のお盆開催の岸和田で決勝に乗っていたし、松戸のナイター記念で1勝、2着1回と大暴れ。前回の奈良は2着2回だもん。とにかく連に絡まない開催がないのはすごいとしか言いようがない。しかも差して勝つもん。紺野は16日から岐阜のFⅠナイターに参加する予定。共同通信社杯に出場した上位クラスが参加しないから、また決勝に乗るチャンスじゃない。
ここでも場外発売がある。月曜日からまた通うか。
ちなみに青野の117期生は今回の共同通信社杯に13人も参加。デビュー5年で、寺崎浩平、山口拳矢と、もう2人もタイトルホルダーが出ている。切磋琢磨なんて言葉、忘れてたもんな。思い出させてくれてありがとう。