KEIRINグランプリ2025(12月30日・平塚競輪場)出場に向け、大きな意義を持つ大会になる。優勝賞金は2900万円。現在のところ賞金ランキング6位の郡司浩平までは当確だろうが、7位以下はこの大会の成績によって圏内に入ってこられる。それだけ重要な大会なのである。
もちろん、中心になるのは脇本雄太(福井)で間違いない。記憶に新しいオールスター競輪は、同県の後輩である寺崎浩平(福井)のGⅠ初タイトルに貢献した。今回の決勝では逆に寺崎に前を任せてV獲りを狙う。3番手には古性優作(大阪)、グランプリ出場圏内にいる南修二(大阪)と援軍はこの上ない布陣となっている。持病の腰痛が気になる脇本だが、地元開催のビッグレースとなれば、気持ちでカバーしてくる。優勝が義務づけられている大会と言っていい。
強力な近畿勢に対抗できるのはやはり、南関勢だろう。その中心は郡司浩平(神奈川)だ。8月の松戸記念は準決で敗退した。ただしこれはオールスターが終わって休む間もなくの参戦だった。疲れが取れていなかったのが敗因で、本人もそれは承知だ。その松戸記念で優勝した岩本俊介(千葉)は正念場を迎えている。決勝は深谷知広(静岡)の先行に乗って番手まくりを放ち優勝。S班の意地を見せつけた。深谷のレース内容も見事だった。競輪の神髄である「ライン」を大切に思う深谷ならではのレースだった。勝った岩本も立派、深谷も立派だった。深谷もランキング7位を考えると上積みは欲しいところ。
関東勢は西武園記念を制した眞杉匠(栃木)の不在が痛い。眞杉と吉田拓矢(茨城)は今や、日本を代表するコンビになっている。この状況で吉田がダービー王としてどう立ち回れるかがポイントになってくる。新山響平(青森)に関しては安定感があるものの、ここ一番の勝負強さが見られていない。寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GⅠ)に弾みをつける意味でも結果を残したいところだ。
S班で言えば清水裕友(山口)。最近は、2番手を回ることも多くなってきたが、基本は自力だ。新山同様に、次のGⅠを見据えてどこまで調整がうまくいくかだろう。太田海也(岡山)も優勝候補だ。爆発的なパワーに加えスピードも申し分ない。最近のレースを見ていると予選では全く問題ないのだが、準決、特に決勝となるとキャリア不足は否めない。この後は競技の世界選手権も控えており、今大会は優勝を意識した走りをするだろう。太田に負けじと中野慎詞(岩手)にも期待したい。
ここに来てデキの良さが際立つのが山口拳矢(岐阜)だ。元々、まくりの破壊力は誰もが認めるところだったが、さらに位置取りに関しても成長の度合いが伺えるようになってきた。
共同通信社杯は若手の登竜門的な要素が強いが、最近はグランプリ争いでの重要度が増している。そして1、2次予選は自動番組ということで面白いレースが期待できる。地元・福井勢に古性、南がいる近畿勢の優位は揺るぎない大会だ。