苦労人が地元で嬉しい嬉しい初勝利
7月に入り127期のルーキーたちが各地で続々とチャレンジデビュー。新潟所属の中川飛隆は1~3日に行われた地元の弥彦ミッドに参加した。
ダッシュ自慢は初日、豪快なカマシを放って後続を引き離すシーンを見せたが、残り半周で大失速。地元の長い直線にも手を焼いて4着に沈み、ほろ苦いスタートとなった。それでも2日目は、自力一車と展開の利もあったがマイペースに持ち込むと、実力者の大薗宏を振り切る価値ある内容で待望の初勝利をゲット。
「初日は緊張もあって前半から踏みすぎてしまい、最後は脚がカックンカックンでした(苦笑)。2日目は反省を踏まえて、踏み直す脚を残せたと思います。初日に初勝利を飾って勝ち上がれたら一番良かったんですけど、それでも1着が取れてとにかくホッとしました」
地元での1着に最高の笑顔を見せた理由はもう一つある。「周りの方々がすごく喜んでくれたんです。会う人、会う人から『おめでとう』と声をかけてもらえました。それが本当にうれしかったし、幸せだなって」
実は中川は養成所に受かるまで「8回試験を受けました(苦笑)」という苦労人。アマチュア時代は「5年間、弥彦競輪場でアルバイトをしていた。発走前の点呼もしました」と言い、「なので今回も、走路補助員の時に一緒に働いていた同世代の友人、洗濯などをする女性スタッフさん、JKAや施行者の方々など、顔なじみがたくさん競輪場にいたんです。ずっと応援してくれていたし、その方たちの前でこうやって勝てたのが本当にうれしくて…」と、苦しんでいた時代を知っている周りの人たちが、初勝利を自分のことのように喜んでいた光景に感銘を受けていた。
初勝利を挙げたことで「1着を取るってこんなに嬉しいことなんだなと気付けました。次も1着を取りたいし、そのためにはキツい練習も頑張らないといけないと思いました」とモチベーションも向上。また「やっぱり実戦は全然違いました。普段の練習の時から先輩たちには『こうした方がいい』というアドバイスをたくさんいただいていたんですけど、実際にレースを走ってみて“こういうことだったのか”と身をもって実感することができ、課題もしっかり見えてきました。普段の練習から意識していき、それを踏まえてレースに臨めば、また違う課題や改善点も見つかるはず。そうやってひとつずつレベルアップしていければと思っています」
とキラキラした目で語った。
愛嬌たっぷりで人柄も良く、周りから可愛がられるタイプ。これも競輪選手として大成するための一つの大事な才能だ。まだまだ粗削りで学ぶことも多いが、謙虚さを忘れずこのまま地道な努力を続けていけば、きっといずれは、新潟の人気選手になるはずだ。