年が明けて、まずは立川記念の場外で競輪場へ。ラーメン店に顔を出した。店主のマサさん、常連のトミさんにあいさつはできた。タナカくんはいないのか?「だって今日は平日だよ」。そうか。と、ここまではよかったが、その晩から少し咳が出始めて、少し具合が悪くなってきた。これがインフルエンザの始まり。熱はそれほど出なかったけど、外に出られないのがつらい。
たまたまスマホをいじっていたら、配信サービスの1カ月無料トライアルが出ていたから申し込んでみた。競輪の映画でもと思って検索していたら、「青春PARTⅡ」が出てきた。1979年の東宝とATGの映画。46年前、競輪を覚え立てのころに観ている。異色青春映画の完成と言った映画解説もあったなあ。監督は日活ロマンポルノの傑作「桃尻娘」を演出している小原宏裕で、主人公が南条弘二。服部まこ、舟木一夫が出ていたし、藤巻昇、中野浩一が特別出演。適性試験で合格した若者の物語に、競輪にのめり込む学習塾の経営者を兼ねる数学講師の話が絡み合う。
当時の競輪学校(現・日本競輪選手養成所)や、競輪場の様子がしっかり描かれていて感慨に浸る。なにしろ6番車以降の色が違う。6番が白黒、7番が白赤、8番が白青、9番は赤青。先行よりまくりで勝つことを低くみていることが時代を感じさせる。「あなたも数学やってるんだから、競輪は勝てんって、なんでわからんと?」と舟木一夫は妻に叱責されるが、わかっちゃいるけどなんだな。落車させた同期生の見舞いに行くと、その兄役の藤巻昇が「走ることしか能のない男だよな、俺たちは」と主人公の肩をたたいて言ってくる。そこからラストまでがいい。バンク練習をする主人公の姿でエンディング。今は使われなくなったPARTⅡという言葉はいいね。人間は仕事でもプライベートでも、たずさわっているいろいろなことで、成功や挫折を繰り返して、PARTⅡ、PARTⅢへ進んでいく。なんてこと考えたりして…、柄じゃないか
インフルエンザの自宅待機が明けて、満を持して競輪場へ。今日は和歌山記念の最終日か。ラーメン店をのぞくと、タナカくんがいた。遅ればせながら新年のあいさつをしたんだけど、タナカくんからの返事は「末木浩二がこのところいいですね」。
末木は山梨の109期生。自力で戦っている。アマチュア時代の実績からすると、選手になってからの成績を物足りなく感じている人は多いはず。でも昨年10月の小倉で決勝に乗ったあたりから決勝進出の回数が増えて、11月の奈良では5カ月ぶりに優勝したし、前回の佐世保記念では決勝に乗った、この和歌山記念でも準決勝まで勝ち進んだが、肝心の準決勝で叩いてきた池野健太を相手にスイッチが入り、先行争いで力尽きて7着。でも諦めずに内を懸命に踏んでいく姿には見ていて力が入った。タナカくんも「この記念は師匠の志村太賀がいるし、古屋琢晶、城幸弘もいて、山梨の選手が4人も参加しているんです。珍しい斡旋ですよね」とつけ足してくれた。それなら、7Rで末木と志村の師弟コンビを買ってみようか。最近、この2人の連係はうまくいっていないイメージがあるけど、ともに近況がいいので、ワンツーを決めてくれるんじゃないかな。そこを当ててから決勝は考えよう。
そして7R。昨日は先行争いをした池野が単騎でまくっていって、たまたまそれに乗った末木-志村が突き抜けてワンツーが決まった。3着も池野が粘って、3連単は⑤⑦③で1930円。なんてこった、1番人気当てちゃったよ。車券が当たって喜んでいるタナカくんが少し落胆しているこっちを向いてこう言った。「贅沢言っちゃダメですよ!浮いたんだから。そういう姿勢がツキを逃していくんですよ」。俺の半分も生きてない奴に諭されてしまった。
競輪の世界に入って40何年。俺の競輪はPARTいくつだろう。進化してるのか、退化しているのか。