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浅草キッド 玉袋筋太郎 の KEIRINグランプリ2024展望
レース展望 2024.12.18

浅草キッド 玉袋筋太郎 の KEIRINグランプリ2024展望

#グレードレース展望

1年って早いもんだねえ、もうグランプリの話題ですよ。競輪仲間と飲みながら、ああだこうだと講釈垂れて30日を待つのが年末のオレのルーティーンであって無上の楽しみなんだ。メンバーも出揃ったことだし今年のグランプリをオレなりに考えてみたよ。

ラインが長いのは南関か。先行は北井(佑季)って読むと郡司(浩平)に展開が向きそうだけど、ちょっと待ってほしい。その後ろには誰がいますか?ってところでさ、何と3番手には岩本(俊介)がいるんだよ。S級S班って毎年〝んっ、この選手?〟って思わず口を突いてしまう選手がいるじゃない。いわゆる、和田健太郎パターン(笑)。顔じゃないってところに岩本が滑り込んだところにオレとしては値打ちがあると思っていて、ただならぬ不気味さを感じるんだ。北井はライン3車で駆けやすくなるし、郡司も早めに飛びだすことだって頭にある。そこで脚をたっぷりと溜めた岩本が直線を突き抜けるなんて、2020年のワダケンの再現みたいで胸が躍るよ。それに岩本はワダケンと大の仲良しって話を聞いたこともあるし先輩に続け!とばかりにオレは狙うね。何とか穴党の救世主となってもらいたいな。

ほかも強烈だなぁ。みんな承知のように結局、今の競輪界は古性優作なんだ。こればっかりは仕方がない。ワッキー(脇本雄太)との前後の並びはまだわからないけど、自分でやろうが任せようが、どこにいても気づいたら勝負圏にいるのがコショーのすごみだ。話は変わるけど最近、餃子の食べ方が変わってきていてさ、普通なら醤油にラー油と酢じゃん。だけど大量の酢にコショーをかけて食うんだ。これがまたうまくって、町中華の番組をやっていることもあって、オレの餃子スタイルに新たなウェーブがきた。そんなブームに乗っかって、隠し味のあらびきコショーが主役に躍り出る、そんな場面も目に浮かぶよ。

このなかじゃ、最多出場の平原康多のグランプリへかける執念は誰よりもすごいと思う。ここ数年、ケガもあって「平原は終わった」みたいな話も出るけどさ、ちゃんとタイトルを取ってグランプリに出てきたし、まだ42歳だよ。ぜんぜん若い。かつてはヤマコウ(山口幸二)さんやシンタロー(佐藤慎太郎)が43歳で獲ったし、平原もぜんぜんチャンスはある。ただ、それは眞杉匠次第ってところだな。タテヨコに暴れるあのスタイルは大好きでずっと気になっているんだ。関東の新旧プリンスが組んで、匠の技で魅せてほしいぜ。

一方、新山響平と清水裕友はどうすんだろうねぇ。2人で並ぶって発想にはならないだろうし共に単騎だろう。この間、中継を見ていたら新山が玉野の「ひろしまピースカップ」を走っていてビックリしたよ。グランプリレーサーって、だいたいこの時期はレースを走らずに本番へ向けて準備するのが普通だったから。物入りなのかねぇ…ってそんなことないか(笑)。きっと、レースでしか得られない感覚が欲しかったんだろうな。清水は、どこを切り取るかってとこに興味があるね。岩本のケツかもしれないし、何ならラインを分断だっていい。グランプリって単調な展開になることが多いけど、清水がカキ回せば場が荒れるし面白くなるよ。今回は長年パートナーを組んできた松浦悠士がいなくてシングル戦になる。今年「極悪同盟」が流行ったけど、松浦と清水はいわばクラッシュギャルズだな。解散後の長与千種みたく清水には頑張ってほしい。105期は以前に競輪学校へ仕事に行った縁もあって思い入れがあるし、清水の車券は必ず買うと決めているので押さえるよ。

いつも思うけど、グランプリを当てるのって本当に難しい。毎年、仲間6人ぐらいと月に5000円ずつ積み立てて勝負するんだけど、なかなか当たらねぇな。だけど、車券検討会がまた面白くってさ、テレビ局の会議室でホワイトボードとか用意してやる番組の制作会議みたく色んな意見が出るんだ。それなりに予算があるもんだから「3連単の全―全―全をしましょう」とかリスクヘッジを提案してくるヤツとかもいてさ。バカバカしいからヤメろよって言ったら、その年は何とワダケンが勝った(笑)。忘れもしない2020年の平塚で、3連単で22万円ついたんだよ。あのときの苦い思い出があるから、岩本に託してしまうのかもしれねえなぁ。

当たりは遠いけど、思い出はたくさんあるよ。2012年に村上のお兄ちゃん(村上義弘)が雨の中、勝ったときは確か「直前に骨折した」って怪情報が入ったんだ。そういう話を聞くと狙いにくいし実際にお兄ちゃんからは買わなかったけど、ドラマチックな幕切れに感動したね。2011年の平塚は現地へ行った。競輪仲間と後輩と3人で前乗りして、健康ランドに泊まって朝の1Rから打っていて。優勝はヤマコウさんだったけど、オレたちは3人ともオケラでさ、どうしようかって悶々としていたら突然、後輩の電話が鳴ったんだ。何事かって聞いたら「本場にいる知り合いがグランプリを当てて500万円儲かったけど、払い戻し方がわからないから来てほしい」って。もう一目散に駆けつけて、払い戻し場にご案内だよ(笑)。そうしたら券売機から500万がダーっと出てきてさ、オケラ3人で生唾を飲み込んでいたら、その人が祝儀をくれたんだ。だから結果的に、オレたちは負けていない!って胸を張って飲みに出たよ。

グランプリの雰囲気って独特だし、みんなにはぜひとも本場で観戦してほしい。もちろんオレも行けるときは現地へ行くけど、どうしても行けないときは自分の店で仲間と飲みながら観戦しているんだ。あっ、別にあっちの〝ノミ〟じゃなくて、こっちは〝飲み〟だから、そこは安心してちょうだい(笑)。仲間同士でもいいし、1人でもいい。競輪場で自分の時間を楽しむことができれば、もっと競輪を好きになると思うよ。なんやかんやで本番までもうすぐ。今年こそしっかりと儲けて、祝儀をバラ撒きたいもんだね。

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