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直送!競輪場便りfrom 和歌山競輪場 志田愛希飛(富山・125期)
インタビュー 2024.09.25

直送!競輪場便りfrom 和歌山競輪場 志田愛希飛(富山・125期)

#競輪場便り

輪界のバロンドールを目指す

 台風一過、残暑厳しい紀州の地で逸材がポテンシャルの証しを見せた。24年8月31日からの和歌山FⅡチャレンジ戦は、完全Vで2度目の優勝を飾った。
 初日は突っ張り先行、準決は、中団からの強力なまくりで勝ち上がった決勝は、完全にレースを支配した。赤板でいったんインを切り、別線の先行を誘って中団を取ると打鐘ですかさず仕掛けて主導権を奪った。あわてて一人で飛んできた同期の山下祐輔を出させて、冷静に番手に収まった。最後はゴール直前、2分の1車身差で懸命にもがく山下をとらえた。W杯サッカースペイン戦の奇跡のゴールをアシストした〝三苫の1ミリ〟ならぬ〝志田の80センチ〟0.05秒差の1着ゴールを決めた。24年5月デビューから絶対的なスピードとダッシュ力を武器に力まかせで勝ち星を重ねてきたが、取りこぼしもあった荒削りなレース内容から一歩進化した。
 サッカー少年だった。プロサッカー選手を目指して中学卒業後にスペインに渡った。プロチーム下部組織のセレクションに合格。ここからのし上がろうとした矢先にコロナ禍で帰国を余儀なくされ、結局スペインに戻る夢まで閉ざされた。国内でプロサッカー選手の再挑戦を目指したが1度はずれたレールに乗り換えるのは苦難の道だった。悶々とした日々の中でみたのが、名古屋での兄・龍星のルーキーシリーズの戦いだった。そのスピード、鬼の形相でもがく表情に魅せられ「これだと思った」と競輪選手を目指すのに迷わなかった。
 兄に地元の練習グループと師匠(松田大)を紹介してもらい2度目の技能試験で養成所への合格を果たした。「サッカーと違って努力したすべてが自分に返ってくる。練習はサッカーよりきついけど、だからもうサッカーには未練はないですよ」ときっぱり話す。
 サッカー時代のポジションはセンターバック。全体を俯瞰(ふかん)して戦わなければならないポジションだ。まだ持ち前のダッシュ力とスピード、そして課題の長い距離を踏む持久力に、レース全体を見渡し、展開を読み切る支配力を身に付けて目指すのは兄の待つS級の舞台。憧れは北井佑季。偶然だが元Jリーガーだ。北井ばりの豪快レースで1着ゴールラッシュを狙う。

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