初のタイトルと賞金6100万円。そしてグランプリ2024の出場権に僅かに届かなかった。初のGI決勝に挑んだ窓場千加頼。昨年末からの成長は著しく、3月のGIIウイナーズカップでは脇本雄太の優勝に貢献するなど、今や近畿を代表する選手へと成長したと言っても過言ではないだろう。その窓場がオールスター決勝という大舞台で躍動した。「直前に相当ハードな合宿を向日町でしてきました」と真っ黒に日焼けした顔で自信ありげに話した。
2日目のオリオン賞は単騎。打鐘では9番手という最悪の展開。そこからまくり上げていったが、終わって見れば8着。レース直後は悔しそうな表情を見せたが「修正して次に臨みます」と険しい顔で答えた。圧巻はそこから3連勝したことだ。
一次予選2は南関勢の4番手を奪うとバック前からまくり圧勝。マークした山田久徳を寄せ付けなかった。
二次予選は逆に南修二を連れて先行し、逃げ切った。明らかにオリオン賞に比べて余計な力が抜けている印象を受けた。
準決は北井、郡司、内藤の地元勢に松浦もいる激戦区となった。ここで窓場は成長の証しを見せた。古性のガードを受けながら見事逃げ切り、決勝へと勝ち上がった。「後ろは同期の古性さんだし安心して走ることができた」と笑顔で会見に臨んだ。
迎えた決勝。新山を先頭に佐藤・守澤・渡部の東北が4人。地元からは松井と郡司。眞杉が単騎になり、窓場には古性。果たして窓場はどんなレースをみせるのだろうか? 東北勢が抑えて主導権を握ると窓場はいとも簡単に5番手をキープ。後ろに古性で地元勢が7、8番手。真杉に至ってはまさかの9番手。決勝メンバーの中で、デキの良さは窓場、新山が抜けていて、古性も徐々に調子を上げてきた。松井もパワフルな走りでファンを沸かしていた。
「2角からまくるという描いていた展開になった」と窓場は振り返った。佐藤の強烈なブロックをかいくぐり、4角では栄光のゴールがハッキリと見えた。遅れてきた天才レーサーがやっと頂点に立つ、そう思った。だが勝負はそんな生やさしいものではない。古性が外を伸びて優勝。窓場は2着。
「優勝できなかったのは悔しいけど、ずっと目標にしてきた古性さんの優勝はうれしい。正直、4角を回ったときには夢をみた(笑い)」と同期とのワンツーに笑みをこぼした。
「まだまだ足りていないところばかりです。次は地元の向日町記念に全力を尽くします」。デビューして13年。もっと早く大舞台で活躍してもおかしくない能力を持ちながら回り道をしてきた。賞金ランクも一気に9位にジャンプアップした。残りのGIは2つ。まだまだ窓場の快進撃は続く。