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6月の印象に残った選手、レースを紹介!
特集 2024.07.03

6月の印象に残った選手、レースを紹介!

#今月のベストプレイヤー

●6月のMVP 山崎賢人(長崎・111期)S1

6月22日~25日 「令和6年能登半島地震復興支援競輪/大阪・関西万博協賛 開設75周年記念 第30回中野カップレース」(GⅢ)

 ナショナルチームの活動が多忙を極め、競輪を走る機会は限られており久留米は何と今年初の競輪競走だった。最後に競輪を走ったのは昨年の小倉「競輪祭」(GI)以来でブランクはかなり空いた。急きょ久留米参戦したのは、パリ五輪代表に選出されずリザーブにとどまったから。現地にも帯同せず競輪競走への参加が可能となったためだ。

 レース勘も何のそので、初日は打鐘先行で園田匠とワンツー。交わされたが「久々の実戦だったけど大丈夫っぽいです」と涼しい顔で好スタートを切ると、2日目も打鐘前から風を切り北津留翼と確定板入りした。

そして3日目は「自身初めて」というラインの3番手周り。岩谷拓磨―伊藤颯馬―山崎―小川勇介と結束した九州カルテットは、岩谷がブン回したこともあり伊藤、山崎のワンツーが決まった。決勝は伊藤颯馬―嘉永泰斗の後ろと、準決と同様にライン3番手。伊藤が発進、嘉永が飛び出すなど、仲間がそれぞれ持ち場をまっとうすると山崎はしっかりと内を締め、松浦悠士のまくりをブロックするなど、呼応し3番手の役割を果たした。

最後の最後に突き抜けたのは前2人の頑張りがあってこそ。4日間、確定板に乗るなど上出来の復帰戦は2018年11月の取手記念以来となるGⅢ制覇と、最高の形で幕を閉じた。ナショナルチームの経験を糧とし、競輪選手として再び輝きを放つ山崎の活躍が楽しみだ。

●6月のベストレース  菅田壱道(宮城・91期)S1
6月11~16日「第75回高松宮記念杯競輪」(GI)14日、東日本二次予選7R

先行ありきの自在が最強の戦い方だ!

 先行ありきの自在戦――。何でもできるオールラウンダーとしては理想の戦い方で、菅田は常に航続距離を長く踏む事を意識している。この日は松井宏佑、佐々木悠葵との3分戦。自力では最年長の菅田がライン4車という組み合わせだった。菅田が取った策は、なんと赤板からの突っ張り先行。本線、松井を後方に置きバックを一本棒で通過する超ペース駆けに持ち込んだ。

 結果は番手の成田和也が1着。2着には松井が届き菅田は5着に敗れた。ところが、出し切ったこともありレース後は思いのほか晴れやかだった。「1走目に成田(和也)さんに迷惑をかけました。それもあって八割方は先行したいなと思っていたんです。競輪はこの先、まだまだ続くし今回だけじゃない。それに4車いるのに中団で構えて何もしないよりもと。3着までに残る脚が無かったのは自分のせい。でも形は作れましたね」

 菅田はこのレースにとどまらず翌15日の6RS級特選でも伊藤旭らを差し置いて先行し、守澤太志とワンツーを決めた。「先行を見せておけば自在でやったときに際立つ。実際に一次予選2の時に対戦した松坂洋平さんが『先行する可能性がある』と警戒していたみたい。前橋記念でも最終日に対戦した山田諒君も似たようなことを言っていたし、先行があれば周りは嫌だと思う」。今年38歳を迎え中堅に位置する菅田がこれほどまでに先行にこだわるのも、うなずける。

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